HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50433 Content-Type: text/html ETag: "ad78e-1769-4ba0839ff406f" Expires: Tue, 28 Feb 2012 20:21:14 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 28 Feb 2012 20:21:14 GMT Connection: close 企業年金消失 リスク見極める眼力も必要だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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企業年金消失 リスク見極める眼力も必要だ(2月29日付・読売社説)

 企業年金の資産運用を委託されていた投資顧問会社「AIJ投資顧問」(東京)が、年金資産の大半にあたる約2000億円を消失させていたことが発覚した。

 AIJは、高い運用利回りを売り物にする会社として、評判だった。大手格付け会社が顧客を対象に行ったアンケート調査で1位を獲得したこともある。

 ところが実際は、顧客にも監督官庁にも虚偽の報告をして、好調な運用実績を装っていた。集めた資金を香港の金融機関に移すなどの動きもしていたという。

 運用に失敗して巨額の損失を出したのか。それとも、預かった資金を流用していたのか。証券取引等監視委員会は海外当局とも連携し、運用の実態と消失に至る経緯を徹底解明してもらいたい。

 問題の背景には、企業年金を取り巻く環境の悪化がある。

 社員と企業が資金を出し合って運用する企業年金は、公的年金を補い、老後の生活を支えるものだ。しかし、少子高齢化で新たな加入者が増えない一方で、年金を受け取る退職者は増え続けており、どこも収支は苦しい。

 リーマン・ショック後の株価低迷による運用難が収支の悪化に拍車をかけた。そんな時、AIJは魅力的に映ったのだろう。

 厚生労働省によると、AIJに資産運用を任せていた企業年金は昨年3月末時点で84あり、大半は同じ業種の中小企業などが集まってつくる厚生年金基金だった。

 厚労省は、リスク回避のため、分散投資を求める資産運用指針を設けていた。だが、資産の半分以上をAIJに集中させていた年金基金もあった。

 資産が戻らず、企業も穴埋めできなければ、年金給付額の減額を迫られることも想定される。

 年金基金は一般の個人投資家とは異なり、プロの投資家として扱われている。金融行政が「事前規制型」から「事後チェック型」に変わり、自己責任が原則とされる時代である。

 基金にも、リスクを見極める目を養うことが求められる。

 一方、金融庁は、他の投資顧問会社約260社の一斉調査に着手する。資産の運用方法や顧客への説明内容に問題がないか、チェックを急ぐ必要がある。

 投資顧問会社は年に1回、運用実績を記載した事業報告書を地方財務局に提出するが、外部監査は義務づけられていなかった。監視体制を点検し、不祥事の再発防止につなげなければならない。

2012年2月29日00時52分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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