HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49120 Content-Type: text/html ETag: "f68e3-13f7-4ba0839f9e0c3" Expires: Tue, 28 Feb 2012 22:22:51 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 28 Feb 2012 22:22:51 GMT Connection: close 2月29日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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2月29日付 編集手帳

 日露戦争で満州軍総司令官を務めた大山巌は、(ぼう)(よう)たる人格で知られた。「今日は大砲の音がしもうすが、どこぞで(いくさ)がごわすか」。参謀部にふらりと現れて、尋ねた逸話が残っている◆ぼんやりした人ではない。幕末には自身で大砲を設計し、戊辰(ぼしん)戦争で各地を転戦した戦略・戦術のプロである。『戦場の名言』(草思社刊)によれば、のちに孫から総大将の心構えを聞かれ、「知っちょっても知らんふりすることよ」と答えている◆言うべくして難しい。福島の原発事故で独立検証委員会(民間事故調)が報告書をまとめた◆「必要なバッテリーの大きさは? 縦横何メートル?」。菅直人首相(当時)は緊迫した修羅場で、みずから携帯電話で担当者に確認したという。官僚をもっとうまく使えなかったか。「首相がそんな細かいことを聞くのは、国としてどうなのかとゾッとした」。同席者は証言している◆日露戦争で日本海海戦を勝利に導いた作戦参謀、秋山真之は戦闘のさなかも双眼鏡をのぞかなかった。「視野が狭くなる。自分は肉眼で大局を知ればよろしい」と。総大将が顕微鏡をのぞいてしまった不幸よ。

2012年2月29日00時52分  読売新聞)

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