HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 32421 Content-Type: text/html ETag: "f36964-5d15-be334600" Cache-Control: max-age=5 Expires: Tue, 28 Feb 2012 03:21:06 GMT Date: Tue, 28 Feb 2012 03:21:01 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:社説
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2012年2月28日(火)付

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首相沖縄訪問―負担軽減を早く確実に

就任から半年、ようやく野田首相が沖縄を訪問した。税と社会保障の一体改革などの難題を抱えているとはいえ、あまりに遅い対応だった。普天間の移設先とされる名護市の市長にも会わ[記事全文]

企業年金消失―監視態勢に工夫を

株価の低迷などにたたられ、どこの年金も構造的な運用難に苦しんでいる。そんななかで、「相場に左右されない安定した利回り」とうたって、80を超す企業年金から2千億円以上をか[記事全文]

首相沖縄訪問―負担軽減を早く確実に

 就任から半年、ようやく野田首相が沖縄を訪問した。

 税と社会保障の一体改革などの難題を抱えているとはいえ、あまりに遅い対応だった。普天間の移設先とされる名護市の市長にも会わなかった。

 首相は仲井真弘多(ひろかず)知事との会談で、政権交代以降の普天間をめぐる迷走や、前沖縄防衛局長の女性蔑視の暴言について、深々と頭を下げた。

 「おわび」から入らなければならない事態が、動かない沖縄問題を象徴していた。

 それなのに、首相は普天間を固定化させないためには、辺野古移設が「唯一有効な方法」だと、これまでの政府の姿勢を繰り返した。代替案がない現状の厳しさはわかるが、説得力はまるでない。

 予想された通り、あくまで県外移設を求める知事とは平行線に終わった。

 知事は先週、国の環境影響評価に対し、辺野古移設に反対する意見書を出したばかりだ。

 「生活、自然環境の保全を図ることは不可能」という沖縄の専門家の知見に基づいている。将来、政治的な事情の変化で覆る内容ではあるまい。

 普天間をめぐる日米合意の実現は、ますます遠のいている。

 この現実を、首相は真剣に受け止めなければならない。

 そして、今春の訪米に向け、より抜本的な米軍再編の見直し策を練り、「辺野古移転断念」に踏み切るべきだ。

 この大転換がなければ、沖縄問題の進展は望めない。同時に、首相が取り組むべきは、在日米軍基地の74%が集中する沖縄の負担軽減である。

 カギを握るのが、さきに普天間問題と分離された、嘉手納基地以南の5施設の先行返還だ。どの施設を、いつまでに返すのか。速やかに、具体的な成果をあげることを期待する。

 基地機能の維持を求める米側との交渉は容易ではないが、首相を先頭に日本政府の総力を示すときだろう。

 同時に、日米で合意した基地騒音の軽減が、米軍の運用によって事実上骨抜きにされている実態にも、厳しく対処してほしい。沖縄県民は目に見える結果を待っている。

 沖縄防衛局長の講話問題は、どうなったのか。宜野湾市長選で暗に特定候補への投票を促したと見られても仕方ない。更迭しなければ、沖縄へのおわびも信頼回復への努力も、言葉だけだと受け取られるに違いない。

 沖縄の信頼を取り戻すには、できることから、ひとつずつ実行することだ。

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企業年金消失―監視態勢に工夫を

 株価の低迷などにたたられ、どこの年金も構造的な運用難に苦しんでいる。

 そんななかで、「相場に左右されない安定した利回り」とうたって、80を超す企業年金から2千億円以上をかき集めていた「AIJ投資顧問」で、運用資産の大半が消えてなくなる異常事態が判明した。

 金融庁と証券取引等監視委員会が真相の解明と業界の実態調査を急いでいるが、ここまでひどい会社がなぜ「野放し」のままだったのか。

 投資顧問業は、規制緩和によって参入が容易な登録制となっている。年1回、運用成績の報告が義務づけられてはいるが、外部監査などのチェックは受けなくてもいい。

 金融庁の検査は、要員の制約もあって年15社がせいぜいだ。全体の5%強でしかない。

 金融自由化を否定すべきではないが、事後的な監視態勢を強化しなければならない。金融庁は、問題のある運用や営業行為を早期にあぶり出せるよう、情報の開示義務などに工夫を凝らす必要がある。

 問題は運用を任せる側の年金基金にもある。「投資のプロ」なら、自己責任で相手を選別するのが筋だ。

 しかし、専門家の助言も受けない小さな年金基金も多く、建前通りに行くとは限らない。問題のある業者が当局にすぐに通報されるようなガイドラインの整備など、「カモ」にされない支援態勢を整えるべきだ。

 AIJが売り物にしたような金融派生商品による運用は、本来は資産のごく一部を充てる補完的なものだ。

 ところが、被害にあった年金基金の中には、かなりの部分を任せてしまった例が見られる。

 とくに、支給額をあらかじめ約束している確定給付型の年金では、随分前に決めた予定利回りが高いままのところも多い。運用が目標利回りに届かず、勢いリスクの高いハイリターン運用へ傾斜しがちだ。

 それが、悪質な業者の横行を許す温床となる。年金基金の財務は厚生労働省が監督しているが、このような問題にメスを入れてきたとはいいがたい。

 年金に開いた穴は、母体企業が負担するか、年金の給付額を減らすかして埋め合わせることになりそうだ。場合によっては、基金が解散に追い込まれることもありうる。当事者は厳しい対応を迫られる。

 他の多くの年金にとっても、今回の事件は資産をどう持続させるか、真剣に考えるための警告となったのは間違いない。

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