米大リーグのブルワーズに移った元ヤクルトの青木宣親外野手にはキャンプの初日、早くも「ニンジャ」というニックネームが付けられた。機敏な動きが日本人をイメージする忍者と結び付いたのだろう▼仲間から「ニンジャ」と連呼され、チームに溶け込んでいる様子がスポーツニュースから伝わってきた。うまいあだ名は潤滑油になるが、子どもの世界ではあだ名はいじめのきっかけにもなる。ユーモアとの境界線は微妙だ▼最近、命名のうまさに感心したのは産経新聞が民主党の前原誠司政調会長をやゆした「言うだけ番長」だ。言葉が先行し結果が伴わない言動を見ると、「座布団一枚」と内心、思っていた▼前原さんは屈辱だったのだろう。先週の記者会見で、産経の記者を排除してしまった。言うだけ番長の表現に前原さんは「記事を読むだけで暗い気分になる。子どものいじめやペンの暴力の次元だ」と話し、社のトップから回答があるまで会見出席や取材に応じないという▼心外かもしれないが、八ッ場(やんば)ダムの建設中止に代表されるように、その表現は論評として決して見当違いではない。子どものいじめを例に持ち出すのは、自身に与えられている権力の重みへの自覚が決定的に足りない▼身内の閣僚からも批判が相次いでいるのは当然だろう。次期首相候補の一人に数えられる政治家の狭量さが情けない。