筆者が小学生だったころ、誰かが誰かの行為を見とがめ、子ども同士の言い合いになったりした場合、よく出てきたセリフがあった。「それって、国会で決まったのか」▼筆者とは郷里の異なる同年配の同僚に聞いてみたら、彼の周囲では「そういう法律でもあるのか」というパターンだったとか。社会科の授業で「国会とは法律をつくるところ」だと習い、その知識を早速、口げんかに用いていたのかもしれない▼さて、衆院小選挙区の「一票の格差」が「違憲状態かつ違法状態」に陥ることになりそうだ。既に最高裁は昨春、「違憲状態」と断じていたが、選挙区画定審議会による区割り改定案の勧告期限も今日、二十五日で切れる▼この期限の定めについて「それって、国会で決まったのか」「そういう法律でもあるのか」といえば、無論、どちらもイエス。国会でつくった法律に自ら背き「違法状態」へと突入なさるのである▼最高裁判断から一年もたってまだ何も決められないのだから、あきれた立法府だ。もちろん与野党で改定案の協議はしたが、各党の思惑がからんで調整がつかなかったのだとか。で、あっさり期限を無視。もう開き直りである▼いやはや。今度の件で、国会議員のセンセイ方は子どもの口げんかに新たなフレーズを提供してしまったのではあるまいか。「国会だって法律守らないじゃないか」