HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 31883 Content-Type: text/html ETag: "5c35b3-5d39-3596b480" Cache-Control: max-age=3 Expires: Sat, 25 Feb 2012 01:21:05 GMT Date: Sat, 25 Feb 2012 01:21:02 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:社説
現在位置:
  1. 朝日新聞デジタル
  2. 社説

社説

朝日新聞社説のバックナンバー

朝日新聞社説のバックナンバー

 社説のバックナンバーは、下記の有料サービスでお読みいただけます。

2012年2月25日(土)付

印刷

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

パートの年金―現役支援はうそなのか

パート従業員が正社員と同じ厚生年金や健康保険に入れるようにし、将来、少しでも多く年金が受け取れるようにする。野田政権が進める「社会保障と税の一体改革」で、貧困・格差対策[記事全文]

会見取材拒否―前原さん、それはない

民主党の前原誠司政調会長が、定例記者会見への産経新聞記者の出席を拒んだ。自分に批判的な一連の記事は「事実に基づかない悪口」「ペンの暴力」であり、「受容の限度を超えた」の[記事全文]

パートの年金―現役支援はうそなのか

 パート従業員が正社員と同じ厚生年金や健康保険に入れるようにし、将来、少しでも多く年金が受け取れるようにする。

 野田政権が進める「社会保障と税の一体改革」で、貧困・格差対策の柱となる政策だ。

 ところが、民主党内で反対論が噴き出し、前原誠司政調会長も「慎重に対応」と腰が引け始めた。

 パートを多く雇う小売りや外食などの業界を中心に、人件費が増えるのを嫌う経営者が強く反発しているからだ。

 法案の提出は予定した3月中旬に間に合わず、「一体改革」といいながら、増税法案と切り離されそうな雲行きだ。

 いま、サラリーマンの妻以外のパートは、国民年金と国民健康保険に加入し、保険料は自分で払わないといけない。

 未納が続けば、低年金になるし、医療の「無保険」は命にもかかわる。社会のセーフティーネットが破れやすい部分だ。

 改革案は、正社員と同じ社会保険に入る対象を、「週に働く時間が30時間以上」から「20時間以上」に広げる。新たに100万〜370万人のパートが加わることを想定している。

 保険料は労使が半分ずつ負担するため、雇い主には全体で年間数千億円規模の負担増だ。最初から、強い抵抗に遭うことは予想されていた。

 そこを粘り強く説得し、調整するのが政治のはずだ。

 パートの加入拡大は、一体改革のなかで現役世代を支援する政策の目玉である。

 高齢者の年金には加算するのに、パート年金のほうはあきらめる。そうなれば、「全世代対応型」という一体改革の看板は偽りとなる。

 自公政権は07年、厚生年金の加入を拡大し、新たにパート10万〜20万人を対象とする法案を提出した。

 このとき、野党時代の民主党は、「抜本改革でない」と反対し、廃案に追い込んだ。もし成立していたら、昨年9月にスタートしていたはずだ。

 今回の案は、年金だけでなく健康保険も対象だ。新たに加入対象となるパートの数も大きく増やした。「抜本改革」により近いのに、今度は「企業負担が重すぎる」と尻込みしては、筋が通らない。

 民主党が先日、試算を公表した新年金案ではどんな短時間のパートも正社員と同じ年金に入る。今回の案もまとめられないなら、実現性はさらに薄れる。

 何も決められないままでは、民主党政権は国民から本当に見はなされるだろう。

検索フォーム

会見取材拒否―前原さん、それはない

 民主党の前原誠司政調会長が、定例記者会見への産経新聞記者の出席を拒んだ。

 自分に批判的な一連の記事は「事実に基づかない悪口」「ペンの暴力」であり、「受容の限度を超えた」のだという。

 この対応に驚くとともに、あきれる。

 公党、とりわけ政権与党の政策責任者が、報道された内容を理由に、特定の社を会見から締め出すなどということを、なぜ、やるのか。

 前原氏はみずからの説明責任の重さを自覚して、速やかに、「産経排除」を撤回すべきだ。

 産経新聞の記事が前原氏に手厳しいのは確かだ。「言葉ばかりで、結果が伴わない人」という意味で、「言うだけ番長」という表現を、5カ月余りで計16回使ったという。

 これらを前原氏は執拗(しつよう)な個人攻撃と受け止めたのだろう。

 しかし、一例を挙げれば、国土交通相就任直後に明言した八ツ場ダム建設の中止が果たせていないことは事実である。

 もし、産経の記事に間違いがあるというのなら、会見で堂々と反論すればいい。

 政治家は常に批判にさらされるものだ。その覚悟のなさを露呈した取材拒否は、前原氏の政治家としての狭量ぶりを印象づけるだけだろう。

 ニュースを伝える媒体が多様化する現在、フリージャーナリストを含めて、取材者の背後には多くの読者や視聴者がいる。

 民主党は従来の政権より、フリーにも会見を開放するなど、国民への説明責任を重視してきたはずだ。

 その意味では、民主党政権としての対応も問われる。

 ところが、野田首相はきのうのインタビューで、「それぞれの判断に、お任せしている。これ以上はコメントできない」と答えた。この認識は甘すぎる。党の代表として、前原氏をたしなめるのが筋だ。

 特定の取材を拒む政治家は、これまでにも散見された。

 小泉政権時代には、NHKの番組改変問題に関連して、自民党役員が朝日新聞の取材への対応を、公式の記者会見を除き、「自粛」したこともあった。

 「新聞は大嫌い」と、テレビカメラだけに向かった佐藤栄作首相の退任会見も有名だ。

 こんな政治家の振る舞いがあるたびに、社会で広くかみしめられてきた言葉がある。

 「私は君の意見には反対だ。だが、君がそれを主張する権利は、命をかけて守る」

 先人の、この名言を前原氏に贈る。

検索フォーム

PR情報