HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50165 Content-Type: text/html ETag: "f6860-1469-4b9a3dd590d29" Expires: Thu, 23 Feb 2012 20:22:56 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 23 Feb 2012 20:22:56 GMT Connection: close 2月24日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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2月24日付 編集手帳

 法律の条文にも五七五の調べがある。たとえば、憲法23条〈学問の/自由はこれを/保障する〉。あるいは、民法882条〈相続は/死亡によって/開始する〉◆東京高裁の判事だった頃、半谷(はんや)恭一さんが広報誌に寄せたエッセーからの受け売りである。いかめしい肩書とは異なり、平易で洒脱(しゃだつ)な語り口が印象に残る◆もう一つ、忘れがたい文章がある。東京地裁のロッキード裁判で嘱託尋問調書を証拠採用した「半谷決定」の一節である。〈人は病気に(かか)ることを(おそ)れるべきではなく、その治療手段の無いことを虞れるべきである〉。たとえ権力の腐敗を事前に防げなくとも、司法が正しく機能すれば国家は安泰を保てるのだ…と、つづく。政治腐敗への憤りと、司法に携わる身の(きょう)()を語って、いまも色あせていない◆退官後は弁護士をしていた半谷さんが自宅で絞殺されたという。78歳。妻(81)が逮捕された。夫妻には認知症のような症状があった、とも報じられている。煮えたぎる正義感と人懐こいユーモアの人にさえ、天は心やすらかな老後を許してくれない◆人生を生ききるとは、むずかしいものである。

2012年2月24日01時08分  読売新聞)

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