HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50215 Content-Type: text/html ETag: "f601f-1434-4b98fd9d3ed7e" Expires: Thu, 23 Feb 2012 02:21:49 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 23 Feb 2012 02:21:49 GMT Connection: close 2月23日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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2月23日付 編集手帳

 「大根飯(だいこんめし)」をご記憶の方もあろう。かつて好評を博したNHKの連続ドラマ『おしん』(橋田壽賀子脚本)の主人公は、貧しい生家で朝に晩に食べた◆「大根をピーナツぐらいの大きさに切ってさ、お米にまぜて炊くんだよ」。戦後の高度成長期に生まれ育った孫に、おしんが遠い昔の苦労話を聞かせる場面があった。「なんだかうまそうだね」。“飽食世代”ならではの感想に、おしんの顔が泣き笑いでゆがんだのを覚えている◆〈服あふれ靴あふれ(かご)にパンあふれ足るを知らざる国となり果つ〉(富小(とみのこう)()禎子(よしこ))。そういう世相を日ごろ嘆いていたので、殴られたような痛みを感じながら記事を読んだ◆餓死という。さいたま市のアパートで、60代の夫婦と30代の息子が遺体で見つかった。室内に食べ物はなく、1円硬貨が数枚のみ。米はおろか、大根のひとかけらも買えなかっただろう◆飢えずに済む世の中にするべく、日本人はみんなして戦後の坂をのぼってきたはずである。どこで間違えてしまったのだろう。顔も名前も存じ上げない方々だが、餓死に追いやってしまったことに社会の一員として恥じ入る。

2012年2月23日01時15分  読売新聞)

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