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2月21日付 編集手帳

 与謝野鉄幹の詩を。〈わたしは十四になりました/ひまを下さい春の野に/緑の木かげで本を読も/何やらかなしいことがある/何やら知りたいことがある〉。劇作家宇野信夫の随筆から引いた◆思春期の憂いと、知的な好奇心と、14歳とはそういう年頃だろう。本村夕夏ちゃんが存命であれば、もうすぐ14歳のはずである。生後11か月のとき、アパートの床にたたきつけられ、首を絞められた。母親の弥生さん(当時23歳)も絞殺されている◆山口県光市の母子殺害事件で最高裁は、配水管の検査員を装って襲った当時18歳の被告(30)の上告を棄却した。死刑が確定する◆残虐な犯行を天秤(てんびん)の一方に載せたとき、もう片方に何を載せたら釣り合うだろう。被告が犯行時に少年だった事情を載せたところで、天秤はピクリとも動くまい。それ以上に重い刑はないのだから死刑は「極刑」に違いないが、犯した罪に比べて重すぎる「厳刑」だとは思わない◆〈故人老いず生者老いゆく(うらみ)かな〉(菊池寛)。18歳から30歳へ、被告にはそれなりの歳月を重ねる人生があった。遺影の母と娘は、いまも新妻とみどりごである。

2012年2月21日01時08分  読売新聞)

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