HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50352 Content-Type: text/html ETag: "546dc-14d7-4b93f72f5f1aa" Expires: Sat, 18 Feb 2012 23:21:48 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 18 Feb 2012 23:21:48 GMT Connection: close 2月19日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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2月19日付 編集手帳

 夏目漱石の『吾輩は猫である』に登場する筋向こうの「白君(しろくん)」は、「人間(ほど)不人情なものはない」と涙を流して怒る。産んだばかりの子猫4匹を捨てられては、「人間と戦って(これ)剿滅(そうめつ)せねば」との怨念にかられるのもわかる◆漱石自身は小説のモデル、名無しの飼い猫をかわいがり、死んだときには庭に句を刻んだ墓標を立てた。江藤淳は『漱石とその時代』(新潮選書)に「漱石の作家的生涯に一時期を(かく)する事件だった」と書いている◆不人情どころか猫や犬に並々ならぬ愛情を注ぐ人間は少なくない。事故原発の周辺区域で、避難の際に取り残されたペットの保護・支援活動が、市民団体やボランティアたちによって今も続く。インターネット上の情報で救われた猫や犬も多い◆先週、東京で1人の50代女性が亡くなった。夫に先立たれ、自身もがんで入退院を繰り返していた。葬儀にはツイッターつながりの「猫友」が大勢集まり、猫の写真で(ひつぎ)を一杯にした◆「みなさん、ありがとうございました」と、遺族はツイッターに投稿。(あるじ)を捜すかのように飼い猫が窓の外を(のぞ)く添付写真が、猫友の涙を誘った。

2012年2月19日01時20分  読売新聞)

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