HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49817 Content-Type: text/html ETag: "f5472-13bb-4b921b159b4c0" Expires: Fri, 17 Feb 2012 21:22:08 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 17 Feb 2012 21:22:08 GMT Connection: close 2月17日付 よみうり寸評 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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2月17日付 よみうり寸評

 「たよりにしてまっせ、おばはん」と森繁久弥(ふん)する柳吉。「へえ、おおきに」と淡島千景の蝶子。映画〈夫婦(めおと)善哉(ぜんざい)〉の名ラストシーンだ◆柳吉は化粧品問屋のドラ息子、そのぐうたらを百も承知で支え続けるしっかりものの蝶子。二人の絶妙なかけあいが笑いとペーソスで味のある夫婦の腐れ縁を描く。バックは戦前の大阪◆織田作之助の原作、大阪情緒の文芸映画の代表作だ。淡島千景はこの演技で、1955年(昭和30年)のブルーリボン主演女優賞を受賞した。その蝶子、いや淡島千景さんが16日、膵臓(すいぞう)がんで亡くなった。87歳◆〈男はつらいよ〉のおばちゃん、三崎千恵子さんを追悼したばかりなのに、昭和がまた遠くなった。寂しさも一層募る◆淡島さんは東京出身、宝塚を経て1950年に松竹入り。「てんやわんや」「自由学校」など軽妙な演技は戦後の抜けるような青空の思い出と重なる◆森繁とのコンビは喜劇「駅前シリーズ」へと続いた。宝塚出身の秀才とも評された。蝶子の旅立ちに合掌。おおきに。

2012年2月17日13時50分  読売新聞)

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