HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49802 Content-Type: text/html ETag: "f2e38-142e-4b92b3d1c8b0d" Expires: Fri, 17 Feb 2012 23:21:16 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 17 Feb 2012 23:21:16 GMT Connection: close 2月18日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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2月18日付 編集手帳

 叔父に体調を聞かれ、ハムレットが答える。「至極上々、カメレオンふうの食事のお陰で、空気ばかり食べている…」(シェークスピア『ハムレット』第3幕、野島秀勝訳)◆西洋にはその昔、カメレオンは空気を食べて生きている、という俗信があったらしい。カメレオンには和名がない。自著で〈変幻蜥蜴(とかげ)〉の名を提唱したのは歌人の小池光さんだが、(かすみ)を食べる東洋の仙人といい、変幻の術を会得した者は食生活の伝説もどこか似ているようである◆マダガスカル島で全長3センチに満たない新種が見つかった。爬虫(はちゅう)類で最小の部類という。写真で見たのはまだ子供のようで、人間の爪にちょこんと載った姿が愛らしい◆市井社『五行歌秀歌集2』より。〈「なんとなく()ものだ。」と/かめれおんに向かって/言う子供いて/ちぢこまる/われ〉(黒岡重安)。周囲の顔色を(うかが)い、愛想笑いを浮かべては消す。その場の空気を食べて体色を変える変幻生活の長い身は、ちぢこまる心境がよく分かる◆“なんとなく小もの”同士、じたばたしながら精いっぱい生きてみようや…と、写真の新顔君につぶやいてみる。

2012年2月18日01時14分  読売新聞)

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