HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49845 Content-Type: text/html ETag: "f67b6-13ef-4b90333261625" Expires: Thu, 16 Feb 2012 03:21:20 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 16 Feb 2012 03:21:20 GMT Connection: close 2月16日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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2月16日付 編集手帳

 日頃よく知っている事柄でも、文章で説明するのはむずかしい。国語辞典はどれも簡潔にまとめてあり、感心することがしばしばである◆例えば、古いところでは1891年(明治24年)初版『言海』より【ねこ】=〈形、虎ニ似テ、二尺ニ足ラズ、性、眠リヲ好ミ、寒サヲ(オソ)ル…〉。最近のものでも、『新明解国語辞典』の【すすりあげる】=〈息を吸って、鼻汁を再び鼻へ入れる〉などは「無意識に結構複雑な動作をしているのだなあ」と思う◆簡にして要を得た表現の宝庫である辞書は有用この上ない。とはいうもののである◆現内閣を「適材適所」と表現した野田首相に自民党議員が発言の意味を質問主意書で問うたのに対し、政府の答弁書は『広辞苑』の記述で済ませたという。〈「人を、その才能に適した地位・任務につけること(出典広辞苑)」とされている〉。適材とは言いかねる人を、分厚い辞書の陰に隠したつもりだろう◆芥川龍之介は『(しゅ)(じゅ)の言葉』に書いている。〈文章の中にある言葉は辞書の中にある時よりも美しさを加えていなければならぬ〉。美しさのみならず、誠実さも、また(しか)り。

2012年2月16日01時27分  読売新聞)

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