HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 14 Feb 2012 23:21:09 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:東電の国有化 電力事業の将来像描け:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

東電の国有化 電力事業の将来像描け

 福島第一原発の事故収束や電力安定供給が緊急課題なのに東京電力の国有化を狙う経済産業省と、経営権を維持したい東電の攻防が収まらない。国有化後の電力事業の青写真づくりをどうするのか。

 枝野幸男経産相が東電の西沢俊夫社長に「政府の資本注入額に照らし、十分な議決権が伴わない形で総合特別事業計画が提出されても認定するつもりはない」と迫った。国有化への最後通告ともいうべき発言だ。

 政府の原子力損害賠償支援機構と東電が、福島第一原発事故の賠償に対する政府支援の前提となる事業計画を三月までに共同でまとめる。計画は機構が約一兆円の公的資金を東電に資本注入し、巨額の廃炉費用などで悪化の一途をたどる財務基盤を強化する見通しで、経産相の認定が必要だ。

 枝野氏は、定款変更など経営の重要事項を決定できる三分の二以上の議決権獲得を通じた東電改革と、他の電力会社への波及を念頭に置いている。西沢社長は国有化に難色を示しているが、税金による資本増強を受け入れるからには経営への関与は当然だろう。

 だが、腰がふらつく政府の対応にも問題が潜む。昨秋、東電の経営状況を把握する政府の経営・財務調査委員会が、巨額の賠償費用を抱えながら債務超過ではなく資産超過との結論を導き出した。

 東電を延命させるために廃炉費用を低く抑え、国からの資金支援の返済も除いたのではないかとの疑念さえ生じさせる内容だった。

 東電の二〇一一年四〜十二月期連結決算は原発を火力で代替する燃料費の増加で六千二百億円の赤字に転落、政府から二回にわたる一兆五千億円超の資金支援で債務超過を免れるのがやっとの状態だ。向き合うべきは国民負担の最小化、原発周辺住民への十分な賠償、電力安定供給ではないのか。

 法的な破綻処理をためらい、株主の責任も、金融機関の東電への貸し手責任も問う姿勢を見せず、資産超過の結論を出したがゆえに打つ手は狭まっている。

 西沢社長が料金値上げを「事業者の権利」などと口にするようでは、経産相のいう国民負担の最小化は絵空事に終わる。

 国有化するなら三年程度で区切りをつけ、独立系電力会社も含めた競争で値下げを促す発電と送電事業の分離や、地域独占になっている電力会社の経営形態見直し、電力安定供給の道筋を示す。果敢に改革に挑まないと、税を負担する国民の理解は得られない。

 

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