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東京スカイツリーの中国語訳をご存じだろうか。公式サイトによれば「東京天空樹」だが、天空樹はあちらで商標登録されていた。ならばと、よりふさわしい表記を出願中という。開業まで100日、準備は胸突き八丁を迎えた▼上るにはしばらく予約が要る。長蛇に連なる苦労がない代わり、下は雲や霧で真っ白という不運もあろう。遠方でなければ、ほとぼりが冷めた頃、晴れた日に並ぶ手もある。450メートルの天望回廊まで大人3千円なり。眼福あってのお代である▼東京タワーは、欧米何するものぞと頑張った高度成長の記念碑として、今も「三丁目の夕日」が照らす。かたや中国の広州タワーから世界一を継いだツリーは、商魂たくましい隣国に一矢報いた格好だ▼バベルの塔、ピラミッド、天守閣。人は古来、神に近づき、権威を誇示するために、他を圧する高さを求めた。建築技術の勝利を担ったのはエッフェル塔だ。完成前から、文化人らが「無用で醜悪、パリの恥」と抗議する騒ぎになる▼鉄骨の未来を信じる技師エッフェルは「設計図ではなく、実物を見て判断を」と訴えた。大衆の視線にどんなメッセージを返すか。いつの世もランドマークの真価だろう▼震災を挟んで伸び、出直しの年に咲く大樹には、国威や技術より希望が匂う。下町の空を突く立ち姿は、さあ上を向こうと背中を押す。遠望に癒やされ、仰ぎ見て元気をもらう塔も悪くない。去年でも来年でもなく、今の日本が欲する、意味のある高さである。