HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 10 Feb 2012 23:21:09 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:民主の年金案 改革論議のたたき台に:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

民主の年金案 改革論議のたたき台に

 政府・民主党は新年金制度案の試算を示した。新制度案は現行の制度と比較ができそれぞれの長所や問題点が分かりやすくなる。これをたたき台に、与野党で年金制度の抜本改革を議論すべきだ。

 新年金制度案は二つの年金の考え方を組み合わせている。

 現役時代に所得に比例して保険料を払い、その額に応じて年金をもらう所得比例年金と、全額税負担で低所得者に満額月七万円を支給する最低保障年金である。

 分かりやすい仕組みが特徴だ。

 所得比例年金は「同じ所得なら同じ保険料で同じ年金額」がルールである。厚生年金、共済年金、国民年金など複数に分かれる制度の一元化が前提だ。制度が一つになることは好ましい。

 この仕組みは払った保険料ともらう年金額の関係が明確になる。

 最低保障年金はより困った人を支援する考え方を採る。

 問題点はある。所得比例年金は一見公平だが、男女で年金額に差が出かねない。女性が出産などで離職した後、なかなか正社員として復職できない現状では、男女で生涯の年収に格差が出るからだ。

 低収入の非正規で働かざるを得ない若者たちも将来もらえる年金が低額になりやすい。

 男女が同じように働けたり、同じ労働内容なら同じ賃金にする必要があるなど社会の仕組みの幅広い改革が必要になる。

 最低保障年金は救済する対象者が重なる生活保護制度との関係をどうするのか整理が求められる。

 そもそも新制度への移行には時間がかかり現実的ではない。

 一方、新制度案は現在の年金制度の分かりにくさも浮き彫りにする。基礎年金の財源には税とともに厚生、共済などの各年金制度の保険料が投入されている。

 加入する制度以外に払った保険料が回されていて、加入者からは負担と給付の関係が見えにくい。制度ごとに保険料負担と給付額もバラバラで不公平感がある。

 保険料を出し合い相互扶助する今の社会保険方式は分かりやすい支え合いだ。ただ、制度を持続可能にする改革が必要である。

 民主党の試算は、消費税率ばかり注目されるが、保険料や税の負担と給付との関係全体を現在の制度と比べる必要がある。だが、議論に必要なデータは不十分だ。

 まず政府が十分な情報とともに議論の材料を示してほしい。その上で持続可能で納得できる年金制度の姿を与野党で議論すべきだ。

 

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