HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 09 Feb 2012 22:21:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:日ロ関係 新機運を領土交渉に:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

日ロ関係 新機運を領土交渉に

 冷えきった日ロ関係に仕切り直しの好機が到来している。強面(こわもて)のロシアが「微笑外交」に転じた。エネルギー、安全保障など多角的に関係強化を進め、懸案の北方領土交渉につなげたい。

 「北方領土の日」の七日、野田佳彦首相は「交渉を粘り強く続ける」と控えめに決意を表明した。メドベージェフ大統領による一昨年秋の国後島訪問と、それに対する菅直人首相(当時)の「暴挙」発言で、日ロ関係は戦後最悪にまで落ち込んだ経緯があったからだが、融和姿勢と誤解される恐れもある。

 緊張した日ロの雰囲気は東日本大震災で変化する。原発依存からの脱却が急務の日本と、日本への天然ガス供給を拡大したいロシアの思惑が一致しエネルギー協力の検討が始まり、官民挙げての対日支援の輪も広がった。

 先月二十八日に来日したラブロフ外相と玄葉光一郎外相による日ロ外相会談は、そうした新たな空気を反映し、資源エネルギー開発や経済、安全保障など多面的な関係発展で合意した。ラブロフ氏は「日ロの貿易高は昨年三百億ドルを超えた」と評価する。

 成長するアジア太平洋地域へ本格的参入を狙うロシア側は、初の議長国として九月に極東ウラジオストクで開催するアジア太平洋経済協力会議(APEC)を是が非でも成功させたい。そのためには、日本の積極的な支援が必要との事情もあるだろう。

 肝心の北方領土問題は「静かな環境」で議論を続けることで合意したが、具体的にいかなる議論を行うか不透明で、事実上の棚上げになりかねない。ラブロフ氏は四島の主権問題について「議論の余地がない」と強硬姿勢を明確にしている。

 ロシア側は日本側に北方領土での日ロの「共同経済活動」への参加を呼び掛けるが、ロシアの国内法に基づく経済活動が前提なら大問題だ。ロシアの実効支配を事実上容認することになるからだ。

 実力者プーチン氏の大統領復帰の可能性が高い新政権で日ロ関係は本格的な再スタートとなるだろう。軍備増強を進める中国はロシアにとっても潜在的脅威で日ロは北東アジアで緊密なパートナーになりうる潜在力がある。

 日本の一部にプーチン氏で領土交渉が進展するとの見方もある。反政府デモ拡大で求心力低下が著しいプーチン氏が領土問題で大胆な決断を下せるのか。幻想を抱くべきではない。

 

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