HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51258 Content-Type: text/html ETag: "b7a7b-1735-4b861f4d8a8c6" Expires: Wed, 08 Feb 2012 02:21:14 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 08 Feb 2012 02:21:14 GMT Connection: close 科学技術会議 競争力の向上へ議論再開急げ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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科学技術会議 競争力の向上へ議論再開急げ(2月8日付・読売社説)

 日本の科学技術の将来が危ぶまれる事態だ。

 科学技術政策の「司令塔」とされる内閣府の総合科学技術会議(議長・野田首相)が、今年初めから休止している。

 先の臨時国会では、会議を構成する有識者議員の人事案が採決されなかった。任期を迎えた議員が退任して「定員割れ」になり、会議が開けない。政府は、今国会に人事案を再提出し、速やかに承認を求めるべきだ。

 総合科学技術会議は、「科学技術立国」を掲げる日本にとって重要な組織である。政府が重点的に推進する科学技術分野の選定や関連予算の配分、評価、必要な制度の検討を担ってきた。

 当面の最重要課題は、東日本大震災の復興に資する研究開発プロジェクトだろう。東北の地域特性を生かして再生エネルギー利用を拡大し、医学などの研究拠点を設ける案がある。

 人材や予算をどう確保し成果を上げるか。専門家の知見や論議を踏まえ、早急に具体策を打ち出すことが求められている。

 総合科学技術会議の組織改革も差し迫った課題だ。

 政府は昨年末に、現在の会議体を、「科学技術イノベーション戦略本部」(仮称)に改組する案をまとめた。

 日本の国際競争力は、研究開発分野でも産業分野でも低迷している。研究から産業化を含めた技術革新(イノベーション)まで幅広く政策を立案、実行できる強力な体制作りが改組の狙いだ。

 重要な改革だが、改組案を具体化する議論は、「休止」によって手つかずのままだ。

 大学などが担っている基礎研究分野の現状も、放置しておくわけにはいかない。

 研究の活力を示す指標に論文の発表数があるが、文部科学省の調査によると、日本はこの10年間に世界3位から5位に下げた。中国が9位から2位へ急伸したのとは対照的だ。

 国境を超えて科学技術の共同研究が進む潮流にも、日本は乗り遅れている。先進国では、論文の50%前後が他国の研究者らとの共著だが、日本はその半分だ。

 日本人研究者が年単位で海外留学する例が減っていることが海外研究者との連携を弱めてきた。日本人の「内向き」志向を反映した結果だろう。

 低迷の原因を詳しく分析し、有効な対策を取る。総合科学技術会議が、そのための司令塔の機能を発揮しなければならない。

2012年2月8日01時05分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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