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2月8日付 編集手帳

 “名君”岡山藩主・池田光政は父親がフキ畑で討ち死にしたので生涯、フキを食べなかった。儒者の熊沢蕃山が軽口を(たた)いた。「殿はお幸せ。水田のご最期だったら米を召し上がることが出来ませぬ」◆光政は「うん」と言ったきり黙った。蕃山は深く悔いたと、森銑三氏の『偉人暦』(中公文庫)にある。命にまつわる話題に洒落(しゃれ)を交えるのはむずかしい◆内閣府は、ポスターまで用意した自殺対策強化月間(3月)のキャッチフレーズ「あなたもGKB47宣言!」を撤回した。悩む人に声をかけたり、話を聞いたりする活動「ゲートキーパー・ベーシック」を47都道府県に広げよう――との含意であったが、おふざけが過ぎる、という批判が噴出したためである◆目の敵にするほど不届き千万とは思わないが、弁護したいほど気の利いた文句でもない。騒動を通して強化月間が衆目を集めたとすれば、GKBもなにがしかの役割を果たしたのだろう◆新内語りの故・岡本文弥さんに一句がある。〈受けるより無事が何より夜長かな〉。“無事”一辺倒の官庁流キャッチフレーズにも、それはそれで難はあれども。

2012年2月8日01時08分  読売新聞)

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