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2012年2月8日(水)付

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研究者と政策―寄付公開し信頼高めよ

原子力の安全や政策づくりにかかわる大学教授らが、原発メーカーや電力会社から多くの寄付を受けていた。このような経済的な関係は公表したうえで働いてもらう仕組みが必要だ。専門[記事全文]

北朝鮮の核―「米朝」で仕切り直しを

北朝鮮の金正日総書記の死去から、50日あまりが過ぎた。独裁者が急にいなくなったあと、国内はそう混乱もなく推移しているようだ。一方で、後継の指導者になった三男の金正恩氏の[記事全文]

研究者と政策―寄付公開し信頼高めよ

 原子力の安全や政策づくりにかかわる大学教授らが、原発メーカーや電力会社から多くの寄付を受けていた。このような経済的な関係は公表したうえで働いてもらう仕組みが必要だ。

 専門家としての知識を期待されて選ばれた人たちである。そういう学識経験者には、何より中立性が求められる。業界との関係が疑われるようなことがあってはならない。

 内閣府の原子力委員会や原子力安全委員会、あるいはその下に置かれた委員会などで審議に当たる専門家の責任は重い。

 そのような任につくときは、いつ、どこから、どんな寄付や報酬を受けたのかを、明らかにして透明性を確保することが、国民から信頼されるために欠かせない。

 委員たちは、審査や委員会での発言が「寄付には左右されない」と説明しているのだから、情報開示に問題はないはずだ。国民に判断してもらう材料を提供することにもなる。

 同じような問題は現代社会の随所にある。

 原発事故から将来のエネルギー政策、医療、食品の安全まで直面する多くの課題に、最新の科学知識が欠かせない。政策を決めるのは政治家や行政であっても、その基礎に科学的な深い判断が必要だ。

 そこに、大学の研究者らの力が求められる。学識とともに見識があり、特定の業界との疑いを持たれない研究者が望ましいのはもちろんだ。

 ところが、大学の研究は今、民間からの研究費なしでは成り立たない。大学への交付金は年々減り、研究者は外部から研究資金を得て、産業界とも連携するよう求められている。

 そうした現実を踏まえたうえで、研究の成果をあげつつ、発言の中立性をどう保ち、また、政府に助言し、政策決定にかかわる研究者をどう選ぶか。

 製薬企業と大学病院などの医師とのつながりが、しばしば問題になったのが医療分野だ。

 こうした分野での透明性を確保するルールづくりは、米国などと比べて日本では遅れていた。昨年ようやく、日本医学会や日本製薬工業協会が医師への研究資金や寄付金などを公開する指針を公表した。

 研究費など、企業からの経済的支援の透明性は、ほかの分野でも大いに高めるべきだ。そのうえで協力を進め、信用を保ったうえで成果を出せばいい。

 政府は政策決定などにかかわる委員を選ぶに当たり、関連業界との関係や、その情報開示に関するルールをつくるべきだ。

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北朝鮮の核―「米朝」で仕切り直しを

 北朝鮮の金正日総書記の死去から、50日あまりが過ぎた。独裁者が急にいなくなったあと、国内はそう混乱もなく推移しているようだ。

 一方で、後継の指導者になった三男の金正恩氏の偶像化に拍車がかかっている。

 乗馬したり、戦車に乗ったりした姿が伝えられ、視察先も軍部隊が多い。

 北朝鮮メディアは、総書記の「遺訓」として「活動家は(正恩氏を)真心で支えなければならない」と語っていたことを報じている。

 それだけに、これまで見るところ、父の政策を変えるそぶりはない。だが、このままでは、経済の疲弊にあえぐ北朝鮮は立ち行くまい。

 まず北朝鮮が動かないことには始まらないが、関係国も環境づくりに努める必要がある。

 日本と米国、韓国は北朝鮮問題などをめぐる外相会談を開くことで合意している。3カ国が緊密に連携し、情報を共有するのは当然のことだ。

 模様眺めが続く現状を、どう動かしていくか。

 かぎを握っているのは、米国と北朝鮮だ。「米朝」で打開の糸口を探ることが起点になる。

 現に米朝間には、総書記死去の直前、暫定的な合意があったといわれる。米国の核専門家に公開した施設に限っての話だろうが、北朝鮮はウラン濃縮を中断する。米国は食糧を送る。そんな内容だという。

 米朝の接触は、総書記の死去直後にもあった。支援の内容と量を見直すよう求めたことを、北朝鮮みずから認めている。

 交渉のそれなりの土台はあるのだ。これを生かし、まがりなりにも濃縮停止につながれば、北朝鮮の核放棄をめざす6者協議の再開にもつながろう。

 そこに向けて中国が果たすべき役割もきわめて大きい。

 中国は現体制を支えていく構えだ。北朝鮮を刺激しないように、周辺国に促してもいる。一方で、北朝鮮をめぐる米国との情報共有には腰が引けている。

 北朝鮮の混乱、不安定化を警戒する立場もわからないではない。だからこそ、中国には北朝鮮を協議の場に出てくるよう説得してもらわねばならない。

 韓国はこのところ盛んに、北朝鮮に対話を呼びかけている。北朝鮮の砲撃などに対する謝罪がなくても話し合いを求めている。国内世論を踏まえれば、つらい判断といえる。

 ところが日本には、北朝鮮に明確なメッセージを出す政治の意志が見えない。北朝鮮はそこを冷徹に見ている。

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