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2月7日付 編集手帳

 くたびれ果てて帰宅した私立探偵フィリップ・マーロウは、濃く、苦いコーヒーをいれる。〈つかれた人間には血になるのだ〉。チャンドラー『長いお別れ』(早川書房)である◆心もとない数々の発言で野党議員の人気を独り占めしている田中直紀防衛相も、お疲れに違いない。参院予算委員会を中座し、国会内の食堂でコーヒーを飲んでいた件が尾を引いている◆「国会内でコーヒーを飲まない決意で臨みたい」。きのう、神妙に答弁した。過去に議事堂内で表明された決意のなかで、最も物悲しい決意かも知れない◆安全保障のカナメであり、普天間の固定化を何としてでも回避する大仕事も抱えている人である。いつまでも、野党から見た“垂涎(すいぜん)の的”であっては困る◆コーヒーを愛した物理学者の寺田寅彦は随筆に書いている。〈コーヒーの効能は官能を鋭敏にし洞察と認識を透明にする点でいくらか哲学に似ている〉と(『コーヒー哲学序説』)。五感が研ぎ澄まされ、洞察力が増すのは結構なことで、委員会や本会議のさなかでなければ、どうぞお飲みください。聴きたいのは、もっと別の決意である。

2012年2月7日01時10分  読売新聞)

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