HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 06 Feb 2012 02:21:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:インフル対策 「強制」は最小限にせよ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

インフル対策 「強制」は最小限にせよ

 感染力と毒性が強い新型インフルエンザはいつ到来してもおかしくはない。政府が前もって万全の対策を講じておくことは当然だ。だが、あまり強権を振りかざすと逆効果になりかねない。

 政府の「新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議」は、危険性の高い新型インフルが発生した場合、国民の生命、健康、生活、経済の安定を確保するための特別措置法を制定する方針で、通常国会に法案を提出する。

 新型インフル発生・流行を「国家の危機管理の問題」ととらえ、政府と自治体、企業とが一体となった取り組みを求めている。

 法案の「たたき台」によると、新型インフル発生時に政府は区域、期間を定めて「緊急事態」を宣言する。論議を呼びそうなのはその際にとられる「措置」だ。

 二〇〇九年の新型流行前につくられその後改定された従来の「行動計画」でも、不要不急の外出自粛や集会制限などを要請できたが、「たたき台」は強制力のない「要請」に加え、場合によってはより強い「指示」までできるように踏み込んだ。さらに医療関係者に対しても「医療従事」への要請のほか、強制的に「従事」を「指示」できる内容になっている。

 医薬品など緊急物資の輸送や販売を正当な理由なく拒否すれば強制収用もできるようにする。

 三年前に流行したインフルは、幸い病原性がそれほど高くなかった。だが、将来も新型インフルの病原性が低いとは限らない。政府が最悪のシナリオを想定して対策を練るのは理解できる。

 それでも強権の発動は最小限にとどめるようにしたい。

 外出自粛、集会制限、学校閉鎖の判断などが地域によって異なるのは確かにまずい。だがこれらを強制的に実行する前に、政府が明確な判断を示し、適切で十分な情報伝達を行うべきだ。多くの国民は納得すれば自発的に「要請」に従ってくれるのではないか。

 三年前の流行時には、国民一般の手洗い、うがいなどの公衆衛生意識の高さ、抗インフル薬の十分な供給に加え、多くの医療従事者の献身的な努力があって、被害が最小限度で済んだ。

 政府がすべきは、十分な医薬品の計画的な備蓄とともに、医療従事者に対し「医療従事」への「指示」などという稚拙なことではなく、彼らが医療活動を行いやすいようにバックアップ体制を整えておくことだろう。

 

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