HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51493 Content-Type: text/html ETag: "a2bca-1745-4b811b344da02" Expires: Fri, 03 Feb 2012 23:21:16 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 03 Feb 2012 23:21:16 GMT Connection: close 水俣病救済 被害者支援の充実に力を注げ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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水俣病救済 被害者支援の充実に力を注げ(2月4日付・読売社説)

 水俣病の公式確認から56年、被害者の高齢化が進む中、救済すべき被害者を早期に確定する必要がある。

 国の基準で水俣病と認定されない被害者について、細野環境相は水俣病被害者救済法に基づく救済申請の受け付けを、7月末で締め切ると表明した。

 救済法は2009年7月、当時野党だった民主党も賛成して成立した。13年4月末までに救済対象者を確定すると定めている。

 この規定がある以上、申請を締め切るのはやむを得まい。救済対象かどうかの判定に要する期間を考慮すれば、7月末はギリギリの期限と言えよう。

 期限の設定に対し、一部の被害者団体は「残された患者を見殺しにするもの」と反発している。その一方で、「ほとんどの被害者はもう救済された」と、理解を示す被害者団体もある。

 熊本、鹿児島両県と、新潟水俣病の発生地である新潟県で、予想を大幅に上回る約5万人が既に申請を済ませた。

 審査を通った被害者には、210万円の一時金と療養手当などが支払われている。環境省は来年度予算案にも関連費用として約120億円を計上している。

 今後も粛々と救済手続きを進める必要がある。救済漏れが生じないよう、未申請者に対する周知を徹底することも大切である。

 水俣病被害者の救済問題は、複雑な経緯をたどってきた。国の厳格な認定基準のため、多くの被害者が認定申請を退けられ、裁判で国や原因企業のチッソなどの責任を追及した。

 1995年にいったんは政治決着が図られた。しかし、裁判を継続した被害者による関西水俣病訴訟で、最高裁が04年、国の認定基準より幅広く水俣病患者と認めたことから、問題が再燃した。

 認定申請や提訴が相次ぎ、新たな救済策が必要となった。今回の救済対象者は事実上、残された最後の被害者と言える。

 長年の争いは、救済内容を巡って被害者たちを幾重にも線引きする結果となった。地域住民の間にあつれきも生じた。

 今後は、被害者支援の充実に力を注ぐことが重要だ。高齢の被害者らに対する介護体制の整備は欠かせない。

 水俣病に対する偏見、差別は依然として残る。人口の減少などで地域の衰退も進んでいる。

 水俣病の発生地域をどう振興させていくのか。環境省が取り組むべき大きな課題である。

2012年2月4日01時20分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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