今冬最強の寒気が日本列島に入り込み、六年前の豪雪に迫る大雪になっている。雪害の死者の多くは除雪中の事故が原因で、高齢者も目立つ。弱者を守るためには、共に助け合う仕組みも必要だ。
気象庁によると、北日本の上空に氷点下四二度以下の猛烈な寒気が流入。日本海側を中心に雪が降り続いて、積雪は青森県で四メートル超、山形、新潟両県でも三メートル超の地点が出るなど二〇〇六(平成十八)年豪雪に迫る勢いになっている。
雪は小康状態になってからも注意が必要だ。事故の多くは、雪が一段落してから行われることも多い除雪中に起きている。
〇六年の豪雪では百五十二人が亡くなったが、うち75%が除雪中に屋根から転落したりして亡くなった。高齢者の犠牲が多いのも特徴で、この豪雪では死者の65%を占めた。
大雪を洪水や地震などと同じ地域全体を襲う災害としてとらえ、対策を講じるべきだ。とりわけ高齢者や障害者、子どもなどの弱者をどう守るかが問われる。
最近、雪害対策として注目されるのが「共助」の仕組みだ。「自助=個人・家庭」では手に余り、「公助=国・自治体」では機動的に対応できない地域の課題について、地域共同体のメンバーが共に支え合う。
山形県朝日町は以前、雪下ろしの費用の九割を町が負担していた。しかし、豪雪時は依頼が集中し個人では業者の確保が難しいなどの問題が浮上。〇七年度から雪の処理の主体を区(町内会)に移した。
弱者の家庭の雪下ろしは地域で行い、業者に頼む場合も区が依頼を代行する。
地域一斉で作業することで危険性を減らす取り組みも各地で行われている。雪の多い地域では町内会単位でどうやって互いに助け合うか話し合ってもらいたい。
災害に関していえば、東京などの都市では、団地の高齢者が同じ問題を抱えている。共助の仕組みを進めたい。
共助を支えるのは公助だ。「自」「共」に任せて「公」は何もしなくていいということではない。
六年前の豪雪の後も、昨年の大雪の後も共助の必要性が指摘され、国はマニュアルまで作った。
しかし、除雪中の事故は相変わらず起きている。自治体が強く指導して共助の仕組みをつくることも必要だろう。最後に助けに来るのが「公」では困るのだ。
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