HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51674 Content-Type: text/html ETag: "ad788-17c0-4b7e97f089486" Expires: Wed, 01 Feb 2012 22:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 01 Feb 2012 22:21:10 GMT Connection: close 欧州の消費増税 日本も学ぶべき財政再建の道 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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欧州の消費増税 日本も学ぶべき財政再建の道(2月2日付・読売社説)

 欧州各国が、消費税の増税などで財政再建を急いでいる。債務・金融危機の封じ込めへ、避けられない道だろう。

 欧州連合(EU)首脳会議は、財政規律を強化するEU新条約の締結で合意した。独仏など25か国が3月に署名し、来年1月の発効を目指す。

 新条約は、各国に毎年の財政赤字を原則ゼロとする「財政均衡」を求め、憲法や法律への明記を義務づける。対応を怠れば、国内総生産(GDP)比で0・1%分の制裁金を科す厳格な内容だ。

 欧州には、財政赤字をGDPの3%以内に抑える安定・成長協定がある。だが、ほとんど守られず、各国で財政赤字が膨らみ、危機が深刻化した。

 従来より厳しい新ルールを徹底させ、危機再発を防ぐ方針で一致したのは当然といえる。

 しかし、欧州はまず、当面の課題の解決を急ぐ必要がある。発端となったギリシャの債務削減を早期に決着させねばならない。

 ポルトガルの国債利回りが上昇するなど、信用不安が再燃している。危機に陥った国や、経営不安の金融機関に対する緊急融資枠の拡充も急務である。

 併せて、首脳会議で合意した財政再建に取り組み、市場の信頼を取り戻すことが求められる。

 フランスのサルコジ大統領が、日本の消費税に相当する付加価値税の税率を現行の19・6%から21・2%へ、10月に引き上げる方針を発表した。EU新条約を先取りし、財政再建を打ち出した姿勢は評価できよう。

 イタリアも9月に21%から23%に引き上げる。危機発生後、いち早く、ギリシャ、ポルトガル、イギリスなども増税を断行した。

 各国のモデルはドイツである。ドイツは、約5年前に付加価値税の増税と法人税減税を柱にした税制改革を実施し、財政再建と経済活性化に成功した。

 債務危機が続く中での増税や緊縮財政は、痛みを伴う政策でもある。景気の急減速を招かないように配慮しつつ、財政再建を着実に実施してもらいたい。

 先進国で最悪の財政赤字を抱える日本にとって、欧州危機は「対岸の火事」であるはずがない。

 消費税率の引き上げを含む社会保障・税の一体改革を巡り、与野党協議が実現せず、改革の行方が混沌(こんとん)としているのは問題だ。

 財政に対する市場の信認がいったん失墜すると、欧州と同様の危機に陥る恐れがある。日本は欧州の教訓から学ばねばならない。

2012年2月2日01時22分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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