HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 31 Jan 2012 22:21:10 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:新年金試算 公開が議論の前提だ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

新年金試算 公開が議論の前提だ

 必要な情報を隠しては十分な議論などできない。年金抜本改革にはどれだけの財源が必要か、野田佳彦首相らが試算を当面公表しない方針を決めた。こんなことで社会保障の再構築ができるのか。

 どうも民主党は二〇〇九年衆院選マニフェストだけでなく、「党是」をも投げ捨ててしまったらしい。透明な行政、情報公開を期待して政権を託した有権者の選択は誤りだったということか。

 首相が三月末までの国会提出を目指す「社会保障と税の一体改革」法案は消費税を一四年四月に8%、一五年十月に10%へと段階的に引き上げる内容だ。これは現行の年金制度維持を前提とする。

 民主党がマニフェストで掲げた最低保障年金(満額で月七万円)を一六年度から導入した場合、試算では新たに消費税率換算で最大7・1%の財源が必要になる。

 首相らが試算の公表を避けたのは、10%を超える増税が必要だと政府が認めれば、野党に新たな攻撃材料を与えるためだという。

 しかし、すでに明らかになっている試算を封印することにどれだけの意味があるのだろう。

 現行制度維持を前提とする今の一体改革案など、改革の名に値しない。とにかく財源が足りないからと消費税率引き上げを既成事実化し、その後、年金制度を抜本改革するにはさらに増税が必要だと切り出すのは、国民に対するだまし討ちではないのか。

 今の年金を安定した制度へと抜本的に改革するには、具体的な設計図と必要な財源について真剣に議論する必要がある。

 政府は本来、年金制度を抜本改革した場合の試算を率先して公表すべきだ。そうでなければ野党側も議論には応じにくいだろう。

 野党側も、ただ批判しても役割を果たしたことにはならない。

 特に、政権政党として今の年金制度をつくり、運営してきた自民党は、本格的な高齢化社会の到来に伴う年金財源不足に対応できなかった責任は免れない。

 民主党に抜本改革案の提示を迫るだけでなく、野党各党も自らの改革案を示し、与野党が侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を交わすべきだ。

 消費税増税はできれば避けたいが、納得がいく改革が実現するのなら、国民もある程度の負担増は受け入れるのではないか。

 もちろん大前提は行政機構をスリム化し、無駄をなくすことだ。増税が肥大化した「官」の生き残りに使われてはたまらない。

 

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