HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 01 Feb 2012 01:21:50 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:作家の幸田文さんのエッセーに、ヒノキの林で森林の専門家から…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 作家の幸田文さんのエッセーに、ヒノキの林で森林の専門家から説明を受ける場面がある。老木と青壮年期の木、幼い木…。すべての年齢層がそろい、元気よく真っすぐに伸びている林だった。「将来の希望を托(たく)せる、こういう林が私たちには一番、いい気持ちに眺められる林なんです」▼人間も同じだろう。各世代の人口がバランスの良いのが理想だが、現実は厳しい。増え続ける老樹に隠れ、若い木や幼い木は太陽の恵みを存分に受けられず、やせ細っている▼厚生労働省の推計では、約五十年後に日本の人口は八千六百七十四万人まで減り、六十五歳以上の高齢者の割合は一昨年の23・0%から39・9%に激増する。国民の四割が六十五歳以上という超高齢時代が到来する▼女性の平均寿命は九十歳を超え、男性も八十四歳。雇用のあり方から社会保障まで、これまで自明とされていた社会のあり方は、根本的に見直されなくてはならない▼人口が減ることは悪いことばかりではない。住宅は安くなり、都市の交通渋滞や通勤ラッシュも緩和される。一方で、多くの移民を受け入れざるを得なくなり、新たな摩擦が起きるかもしれない▼樹齢数百年になる巨木も最初は何ミリかしかない弱々しい芽だった。太陽の光を存分に浴びなければ若芽は大きく育っていかない。老木が光を独り占めしている林は、やがて朽ち果てる。

 

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