HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50689 Content-Type: text/html ETag: "ad6e8-179a-4b7acddd96205" Expires: Sun, 29 Jan 2012 21:21:13 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 29 Jan 2012 21:21:13 GMT Connection: close 除染工程表 住民帰還のため着実な実施を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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除染工程表 住民帰還のため着実な実施を(1月30日付・読売社説)

 東京電力福島第一原子力発電所事故で放射性物質に汚染された周辺地域の除染について、環境省が工程表を公表した。

 約8万6000人とされる避難住民の生活を再建するため、除染は最優先の課題である。「いつ我が家に戻れるのか」という不安を抱える住民にとって、工程表は今後の生活を考える一つの目安となるだろう。

 環境省は、迅速かつ着実に除染を進めなければならない。

 政府は4月をメドに、福島第一原発の周辺地域を、年間被曝(ひばく)線量に応じて「避難指示解除準備区域」(20ミリ・シーベルト以下)、「居住制限区域」(20〜50ミリ・シーベルト)、「帰還困難区域」(50ミリ・シーベルト超)の3区域に再編する方針だ。

 いずれの区域でも、環境省が直轄で除染を実施する。表土のはぎ取りや建物の壁面などの洗浄、植え込みの伐採、側溝の汚泥の除去などが必要となる。

 前例のない取り組みだけに、放射能の専門家や企業などの知恵を結集し、効果的な除染のノウハウを確立することが大切である。

 工程表は、帰還困難区域を除く二つの区域で、除染の完了時期を2014年3月としている。避難指示解除準備区域の一部では、この3月から除染が始まり、年内に終了する。可能な限り早期に多くの住民の帰還を図るためだ。

 住民の生活圏である市街地を優先するなど、効率的な除染の実施が求められる。

 スケジュール通りに除染を進めるためには、はぎ取った汚染土壌などを運び込む仮置き場の確保が重要だ。仮置き場に集めたものを一括して長期間、保管する中間貯蔵施設の建設用地選定も急がねばならない。

 除染が完了しても、住民の帰還には課題が残る。水道、ガスなどライフラインの復旧や、学校や医療機関、店舗などの整備が生活の再建には欠かせない。

 2月に発足する復興庁が中心となって、地元自治体の意向も聞きながら、詳細な帰還計画を策定する必要がある。

 汚染が最も深刻な帰還困難区域については、除染技術や除染作業員の安全確保策を確立するためのモデル事業を実施し、検証することになった。

 環境省は、その結果を踏まえて「対応を検討する」としている。現時点で、住民の帰還のメドは事実上、立っていない。

 この地域の住民をどう支援していくのか。政府に課せられた大きな問題である。

2012年1月30日01時02分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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