HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50658 Content-Type: text/html ETag: "3f973-177b-4b7acddde695b" Expires: Sun, 29 Jan 2012 21:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 29 Jan 2012 21:21:10 GMT Connection: close 核燃料再処理 試運転の確実な成功を目指せ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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核燃料再処理 試運転の確実な成功を目指せ(1月30日付・読売社説)

 既に存在する「核のごみ」を安全に保管し、処分する技術の確立は急務である。試験を確実に成功させてもらいたい。

 日本原燃は青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場で、2008年12月から中断していた試験運転を再開させる。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、原子力関連施設の再稼働は初めてとなる。

 目的は、原発の使用済み核燃料を処理した際に出る放射線レベルの高い廃液を、ガラスで固める工程の完成にある。

 放射性廃棄物は、安全かつ確実に処分せねばならない。廃液の場合は、そのままタンクにためておくより、ガラス固化体に加工した方が安全性に勝る。

 そのための試験を着実に進めることは、必要なことだろう。

 反原発派の団体などは試験再開の中止を求めている。しかし、この試験と原発利用に対する賛否とは、別の問題ではないか。

 廃液処理の技術は福島第一原発事故の処理にも役立つ。事故が起きた原子炉には大量の放射性廃液がある。いずれ安全に処分せねばならない。固化技術の重要性は増しているとも言えよう。

 しかも、全国の原発には使用済み核燃料が約1万4000トン、再処理工場にも約3000トンある。再処理が進まなければ、これも将来、行き場がなくなる。

 重要なことは、日本の原子力政策をどうするか、将来をにらんで論議を深めることだ。

 日本は、原発を電力供給の重要な柱と位置づけてきた。さらにウラン燃料を有効活用するため、使用済み核燃料からウランやプルトニウムを取り出し、燃料として再利用する「核燃料サイクル」の実現も目指してきた。

 六ヶ所村の再処理工場は、その拠点となる施設だ。

 福島第一原発事故を受け、原発利用には慎重論も増えている。定期検査で停止した原発の再稼働はままならず、使用済み核燃料の再処理計画にも影響が出そうだ。

 内閣府の原子力委員会が、核燃料サイクル政策の再検討を始めている。そこでは、核燃料サイクル中止も選択肢に挙がっている。

 政府は今夏にも、新たなエネルギー政策をまとめる方針だが、原発事故処理が続く中での議論は、ともすれば極端に走りがちだ。

 長年かけて築いてきた核燃料サイクル技術を今、放棄すると決めていいものか。急激な政策転換で将来に禍根を残さぬよう、冷静かつ緻密な議論を求めたい。

2012年1月30日01時02分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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