HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 31575 Content-Type: text/html ETag: "231cbe-5cd4-2a32afc0" Cache-Control: max-age=3 Expires: Sun, 29 Jan 2012 20:21:04 GMT Date: Sun, 29 Jan 2012 20:21:01 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:社説
現在位置:
  1. 朝日新聞デジタル
  2. 社説

社説

朝日新聞社説のバックナンバー

朝日新聞社説のバックナンバー

 社説のバックナンバーは、下記の有料サービスでお読みいただけます。

2012年1月30日(月)付

印刷

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

汚染コンクリ―対応の遅れを取り戻せ

マンションや戸建て住宅、川の護岸、用排水路で、放射線量が周囲よりも高いコンクリートが見つかった。病院や学校も心配だ。福島第一原発の事故がまき散らした放射性物質は、近隣の[記事全文]

在宅介護―理想像を実現するには

介護保険の運営が、今年4月から変わる。高齢化にあわせ、全国平均で月4千円程度だった保険料は、5千円を超える見通しだ。介護事業者に支払う報酬は全体で[記事全文]

汚染コンクリ―対応の遅れを取り戻せ

 マンションや戸建て住宅、川の護岸、用排水路で、放射線量が周囲よりも高いコンクリートが見つかった。病院や学校も心配だ。

 福島第一原発の事故がまき散らした放射性物質は、近隣の採石・砕石場にも降り注いだ。そのうち、福島県浪江町で昨春に採取された砕石がコンクリートの材料として出荷され、さまざまな工事で使われていた。

 国と福島県などが流通経路を調べているが、工事現場は1千カ所にも及びそうだ。問題が最初にわかった福島県二本松市の新築マンションには、浪江町から避難してきた家族もいる。

 コンクリの使われ方や線量に応じて、除染や撤去、立ち入り制限、住民の引っ越しの支援など、対策はわかれるだろう。

 それには、汚染石の流通経路を調べ、線量を測る作業が前提となる。

 浪江町周辺にも採石・砕石場は多い。県と国は計28カ所を対象に放射線量の測定を進めた。県は事故直後から6月までに施工された公共工事について、使われた石の搬出元を調べるよう、県内の市町村に要請した。

 鉱業を所管する経済産業省もコンクリ製品や建材などの業界に協力を求めている。官民あげて調べてほしい。

 出荷をはじめ取引を規制する基準作りも急がねばならない。福島産の石というだけで取引が拒否される事態を防ぐためだ。追跡調査で得られたデータを分析すれば、汚染の程度や地域ごとの傾向がわかってくるのではないか。

 浪江町の砕石業者は、原発事故後の3月末から、作業現場が計画的避難区域に指定されて操業できなくなった4月下旬まで、出荷を続けていた。放射能汚染の恐れには考えが及ばなかったという。

 経産省は「何か情報があれば規制したが……」と話す。結果として後手に回り、被害を広げた構図は、汚染された稲わらが引き起こした汚染牛の問題と同じだ。

 福島県は昨年5月以降、コンクリなどの建築資材について放射線量の基準を示すよう、国に繰り返し求めていたが、国は対応していなかった。

 二本松市のケースでは、1月上旬に汚染が確認されたにもかかわらず、公表まで10日近くかかった。疑いがあればすぐに動く。確認できたらすぐに公表する。国や自治体はこの基本を改めて肝に銘じてほしい。

 砕石以外にも、見落としているものがないか。点検を急がなければならない。

検索フォーム

在宅介護―理想像を実現するには

 介護保険の運営が、今年4月から変わる。

 高齢化にあわせ、全国平均で月4千円程度だった保険料は、5千円を超える見通しだ。

 介護事業者に支払う報酬は全体で1.2%上げる。介護職員の賃金を引き上げるためだ。そのうち1%分が在宅サービスに配分され、「施設から在宅へ」という国の政策を進める。

 目玉は、新たに始まる24時間対応の訪問サービスだ。

 日中・夜間を問わず、オムツ交換などでヘルパーや看護師が定期的に訪問し、利用者が呼び出せば駆けつける。そんなサービスを、毎月いくらの定額で提供する。

 国土交通省と厚生労働省は高齢者向けマンションの建設を促進しており、その1階に事業者が入り、新サービスを提供するのが標準的なイメージだ。

 在宅重視の方向性はいい。現場で苦労している職員の処遇改善も不可欠だ。

 ただ、24時間サービスが本当に普及するのか。心配な点がいくつもある。

 医療が必要な利用者宅を訪問する看護師や、夜間に対応する職員が十分に確保できるのか。

 こうした人材を見つけられたとしても、定額の報酬で事業をまかなえるか。すべての要介護度で、出来高払いの在宅サービスを限度いっぱいに使ったときと比べ、定額報酬は月で5万円以上低い。

 定額の場合、事業者が手抜きをしないよう目配りする必要性も高まる。監督責任を担う市町村の目が行き届くのか、利用者には不安がある。

 国が新サービスにかける期待は大きい。「社会保障と税の一体改革」で実現を目指す「地域包括ケア」の柱だからだ。

 おおむね30分以内にある医療や看護・介護、生活支援などのサービスを使って、入院せず、住みなれた地域でくらす。そんな理想像を目指すという。

 厚労省は自治会やNPOといった住民活動まで含めた地域介護の姿を描く。だが、あまりに国主導だと地域の自主性を奪うおそれもある。

 まずは実力のある事業者が取り組んで、問題点を洗い出しながら広げていくべきだろう。

 施設の役割も重要だ。認知症や要介護度が重くなれば、在宅で過ごすのは難しい。

 今回の報酬改定では、老人保健施設や老人ホームが、入居者をみとった場合の報酬が大きく上がった。中重度の高齢者を積極的に受け入れ、最期まで面倒をみる。施設も存在感を示して欲しい。

検索フォーム

PR情報