HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 28 Jan 2012 21:21:10 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:除染工程表 住民本位で取り組んで:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

除染工程表 住民本位で取り組んで

 東京電力福島第一原発事故による放射性物質の除染工程表を政府が発表した。やっかいな放射線だけに作業に困難が伴うのは必至だ。早期帰還を望む住民に応える現実策をもっと練り上げるべきだ。

 除染工程表が示されたのは、現在も避難を強いられている住民らの帰還と切り離せない。

 政府は今後、年間の放射線量が低い順に「避難指示解除準備区域」や「居住制限区域」、「帰還困難区域」の三つに区分する。帰還を早く実現させるために、最も低い二〇ミリシーベルト以下の地域を最優先に除染する方針は理解できる。

 難しいのは、放射性物質が極めて広範囲にまき散らされており、除染地域も広大にならざるを得ない点だ。政府が背負う「除染特別地域」に指定されているのは、十一市町村にものぼる。

 「二〇〜五〇ミリシーベルトの地域は、二〇一四年までに二〇ミリシーベルト以下への除染を目指す」としたが、果たして工程表どおりに進むだろうか。まず、懸念されるのは、効果的な除染技術が確立していないことだ。「官・民・学」の知恵を結集して、技術開発を急いでほしい。

 除染しても新たな放射性物質が流れ込んできて、再び線量が上がるケースもある。避難している地域には、水道普及率が50%に満たず、井戸を使っている所も多い。表面だけ除染しても、生活水をどう確保するかという課題も残る。

 個人の住宅を除染する場合は、所有者の同意もいる。約六万世帯にも上り、全国に分散避難する現実では容易ではなかろう。

 農地の問題もある。表土の除染だけでは、耕作には不十分だ。土をひっくり返しても、放射性物質が下の層に移動してしまう。山間部から高線量の水が流れてくれば、農作物への影響もあろう。

 つまり難題が山積なのだ。ほぼ二年後までに完了とする工程表は、見通しが甘すぎはしないか。責務を負う政府は早く効果的・具体的な手法を提示すべきだ。

 除染の過程で生まれる汚染土壌をどう処分するかも、重大な問題だ。大規模な除染作業が進めば進むほど、大量の汚染土壌も発生する。中間貯蔵施設は福島県双葉郡内に設置の方向だが、立地には難航が予想されよう。

 五〇ミリシーベルトを超える地域では目標時期が示されず、不満の声が上がっている。視界不良のまま進む現状だからこそ、自治体や住民の意見を聞きつつ、スムーズな帰還の道筋を早く示してほしい。

 

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