HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 26 Jan 2012 22:21:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:オバマ演説 「公平さ」で再選めざす:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

オバマ演説 「公平さ」で再選めざす

 オバマ米大統領が一般教書演説で「公平さ」を強調した。再選に臨む年である。「強い米国」を託す候補選びを進める共和党に対して、対立軸として米国のもう一つの価値観を打ち出す戦略といえる。

 大半を雇用の回復、経済の再建策など内政問題にあてた演説を、オバマ大統領はあえてイラクからの帰還兵への賛辞で始めた。

 「米軍が示した勇気、無私の精神、チームワーク。彼らの示した範に倣えば、多くのことが達成可能だ」。上下両院ねじれ現象で機能停止状態にある連邦議会でも超党派の協力を実現したい。そんな期待の表れでもあったのだろう。

 格差が広がるなか、一部富裕層の優遇ではなく幅広い中間層再興を対象とした税制改革、製造業復興への取り組み、不正通商行為に対する監視強化−。演説は、就任後三年間の経済政策が一定の成果をあげてきた、との前提に立ちながら、「ルールを守り、勤勉に働く者が報われる公平な社会」の復興を一貫して訴えるものだった。

 富裕層への課税強化については、「階級闘争と呼ぶなら呼べばいい。億万長者にその秘書並みの税負担を課すのだ。普通の米国人なら、それを常識と呼ぶのではないか」。また、雇用については「雇用を自国に取り戻す方法を自ら考えよ。そうすれば、国は成功のためにあらゆることをしよう」との原則を掲げた。庶民感覚、国民の自助努力こそが基本だ、との考えを踏まえたものだろう。

 共和党陣営は、穏健派と保守派の間で候補者を絞りきれていない。本命とされるロムニー元マサチューセッツ州知事の高額な所得問題が報道されるさなか、オバマ演説は、富裕層優遇か中間層優先か、基本的な価値観を際立たせるかっこうとなった。対決色を鮮明にしたオバマ氏は、現職大統領としての責任を負っている。回復しない支持率を背景に指導力を発揮できるか、手腕が問われよう。

 演説会場でひときわ注目を集めたのが昨年、アリゾナの支持者の集まりに参加中銃撃されたギフォーズ民主党下院議員だった。銃撃に際しては、一昨年の中間選挙で過熱した共和党との中傷合戦が背景にあった、ともいわれる。仮にも暴力を誘発する事態が繰り返されてはならない。

 夏の各党大会、秋の投票日までまだ選挙戦の道程は長い。民主主義の国際的な普及を自ら説いてきた米国である。世界注視のなか、民主国家の模範を示してほしい。

 

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