HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Thu, 26 Jan 2012 22:21:10 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:春闘スタート 問われる経営者の責務:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

春闘スタート 問われる経営者の責務

 東日本大震災や超円高など厳しい経済環境の下、二〇一二年春闘が始まった。今年は経営側の“賃上げ拒否”が目立つ。経営者に問われているのは縮小均衡ではなく、成長への展望を示すことだ。

 恒例の労使トップ会談が二十五日、東京都内で開かれた。米倉弘昌経団連会長が「国内雇用の維持・創出のために徹底した議論を」と語ったのに対して、古賀伸明連合会長は「持続可能な成長のためにも労働者への適正な配分が必要」と訴えた。

 今春闘は経営側が早くから強硬姿勢を見せているのが特徴だ。

 経団連が発表した経営労働政策委員会(経労委)報告は、昨年夏以降の一ドル=七〇円台後半の円高や重い法人税負担、労働規制強化、欧州の政府債務問題など苦境の理由を列挙している。

 いまや国内での企業活動は危機的状況にある。そうした認識を共有すれば国内雇用の維持を優先すべきであり「ベースアップ(ベア)は論外」と一蹴。さらに被災企業などでは「定期昇給の延期・凍結」もありうると言及した。

 これに対する連合はじめ産別労働組合、個別企業労組の闘争態勢は今のところ迫力を欠く。

 連合は昨年末、「配分の是正による賃金水準の復元と、『人財』育成で産業・企業力の強化」を目標に、すべての労働組合が給与総額の1%を目安に賃金の引き上げを求めていくことを決めた。

 定昇制度がない組合は「一歳・一年間差の社会的水準である五千円」を目安に賃金の維持を図る。また、パートや有期契約などの非正規雇用者では正社員への転換ルールの明確化、時間給のアップなどを取り上げている。

 だが連合としてのベア要求は三年連続で見送ったほか、給与総額1%アップもこれまでと同じ。私鉄総連など一部業種でベアを要求するところもあるが、ストライキを構えて闘争態勢を取るところは少ない見込みだ。

 諸情勢を冷静に分析すれば、今年も多くの組合でベア獲得は難しい見通しだ。定昇確保と一時金の獲得額が焦点となろう。また非正規労働者の処遇改善も小幅にとどまる可能性が大きい。

 大切なのは経営側が企業の将来像と従業員の待遇についてきちんとした展望を示すことだ。人件費削減だけなら経営者はいらない。新事業の展開や品質向上などで業績を伸ばす。知恵を絞り努力を尽くすことで苦境を乗り切る。それが経営者の責務というものだ。

 

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