昨年六月から長野刑務所に収監されている堀江貴文元ライブドア社長はどうしているのだろう? 実はスタッフを通じ、メールマガジンの読者に塀の中の日常が詳しく伝えられている▼毎日の食事のメニューから、体重の増減や体調の良しあし、刑務作業の内容、読んだ本の感想などが、一週間に一度のペースで伝えられる。週刊誌にも「獄中記」を連載して、昔と変わらない旺盛な発信力である▼時事ニュースにも積極的なコメントが目立つ。巨額の損失隠しに絡んで有価証券報告書にうその内容を記載したオリンパスの株式の上場維持を、東京証券取引所が決めそうな雲行きになってきた時は、こんな感想を漏らしていた▼「ライブドアの時もそうしてくれれば、純資産の価値の半値以下まで株価が落ちることもなかっただろうし、株主の被害も最小限にとどめることができたのに、と思う」。堀江元社長でなくても、ダブルスタンダードのような東証の方針に釈然としない思いを抱く人は多いはずだ▼東京地検は米国に捜査協力を要請、損失を移した海外ファンドの捜査を進める。全容の解明にはまだ時間がかかりそうだ▼そんな段階で上場維持を決定したのは、海外投資家を含めた株主への影響に配慮したためだという。しかし、その配慮は逆に、日本の市場ルールの不透明性を海外の投資家に植え付けることになる。