HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 24 Jan 2012 02:21:39 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:通常国会きょう召集 角突き合わすだけでは:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

通常国会きょう召集 角突き合わすだけでは

 通常国会がきょう召集される。衆院解散含みの展開だが、与野党が角突き合わせるのではなく、国民のための政策実現に向けて力を合わせる姿が見たい。

 国会は、消費税率引き上げを含む「社会保障と税の一体改革」実現に意気込む野田佳彦首相と、政権打倒を目指す谷垣禎一自民党総裁との対決を軸に展開するだろう。

 谷垣氏が衆院解散に追い込む姿勢を示せば、首相は一体改革への野党の協力が得られなければ解散もあり得ると挑発する。

 衆院議員の任期満了にはまだ一年半以上あるが、両党首対決の行き着く果てにあるのは解散だ。

◆解散だけが「解」か

 でも、待ってほしい。

 確かに、民主党の政権運営は未熟さが否めない。政治主導を目指しながら、官僚に取り込まれたかにも見える。政権交代を果たした二〇〇九年衆院選でのマニフェストも、税金の無駄遣いや天下りの根絶など根幹部分は未達成だ。

 その果てに、マニフェストに書かれておらず、民主党政権の四年間に上げることはないと約束したはずの消費税の増税が出てきた。

 自民党など野党でなくとも多くの国民は民主党政権の正統性に疑問を感じ始めているに違いない。

 国民の生活に大きな影響を与える重要な政策に関しては、国民の審判を仰ぐのも筋論ではある。

 かといって衆院解散で出直すことだけが現状打開の「解」だとは思えない。

 自民、公明両党が過半数を獲得して政権交代を果たしても、一三年まで選挙のない参院では半数に達しない。衆院解散を経ても大規模な政界再編でもない限り、ねじれ状態は解消しないからだ。

 ならば、ねじれ状態が続くことを前提に、どうやって国会を機能させ、国民のための政策を実現するかに知恵を絞った方が、より現実的ではないのか。

◆抜本改革に程遠く

 この国会では、首相が三月末までの法案提出を明言した一体改革が論議の中心となる見通しだ。

 本格的な高齢化社会の到来を迎え、年金、医療、介護などの社会保障費の増大は避けられない。その一方、国の借金は一千兆円に膨れ上がり、このままでは財政破綻を招きかねない。

 社会保障と税金の在り方を一体的に見直し、社会保障財源の安定的な確保と財政健全化を同時に進める必要があることは理解する。

 問題は、一体改革といいながら社会保障、特に年金制度の抜本改革にはなっていないことだ。

 政府の素案では、増税される消費税5%のうち社会保障の充実に充てられるのは1%分だけで、4%は現行制度の維持に使われる。最低保障年金創設など年金制度の抜本改革には、消費税のさらなる増税が必要になるのだという。

 社会保障制度の抜本改革のための消費税増税なら受け入れの余地がなくはないが、野田内閣のやり方は、名ばかりの改革で消費税率引き上げの前例をつくり、将来の大幅な増税に道を開こうというものではないのか。

 そんな一体改革案を認めるわけにはいかない。かといって野党側が協議に応じないのも問題だ。

 民主、自民両党のどちらも政権に就く可能性がある本格的な二大政党時代だ。年金制度のような長期的な政策課題では、政権が代わるたびに、制度が変わるような混乱は避けるべきである。

 与野党が協力して年金など社会保障制度の将来像を描き、実現に尽力すべきではないのか。その際、首相は政府の一体改革案を撤回し、自民党も解散戦略を一時封印する度量も必要だ。

 同様に、行政改革にも与野党が協力して当たってほしい。

 社会保障の抜本改革に伴い、消費税増税がいずれ避けられないとしても、行政と国会の無駄を徹底的に削った後でなければ、国民には受け入れがたい。

 野田内閣は独立行政法人や特別会計の改革を経て、天下り根絶を目指すという。既得権益を守ろうとする官僚との闘いだ。困難な政治課題にこそ、与野党が力を結集すべきではないのか。

 国民が求めるのは、与野党間の不毛な対立ではなく、政策実現を目指した建設的な話し合いだ。

 各党の利害が激しくぶつかり合う選挙制度改革でも、与野党が胸襟を開いて話し合ってほしい。信頼が深まれば、おのずから道が開けるのではないか。

◆ねじれ解く知恵を

 一〇年参院選でねじれ状態になった後、東日本大震災を機に震災復興では与野党協調の機運が生まれた。が、それ以外の政策課題では与野党が議を尽くして、よりよい結論を導いたとは言い難い。

 もう一度、与野党に言いたい。まず「『ねじれ』解く知恵絞れ」と。衆院を解散して国民に信を問うのは、それからでも遅くない。

 

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