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2012年1月23日(月)付

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議員の歳費―2割削ってみせよ

民主党執行部は「身を切る改革」として、衆院の定数削減を優先させようとしている。おかしな話である。なぜ、同時に岡田副総理が唱えた議員歳費のカットもや[記事全文]

ミャンマーの春―憲法改正で民主化急げ

軍事政権による圧政が1年ほど前まで続いたミャンマーで多数の政治犯が釈放された。民主化運動が盛り上がった1988年当時の学生運動のリーダー、07年に10万人規模のデモの先[記事全文]

議員の歳費―2割削ってみせよ

 民主党執行部は「身を切る改革」として、衆院の定数削減を優先させようとしている。

 おかしな話である。

 なぜ、同時に岡田副総理が唱えた議員歳費のカットもやらないのか。

 野田首相も「公務員の給与を削減するときに、政治家の給料を削減しなくていいかというと、これはちょっと筋が通らない」と述べているのだ。

 なのに、輿石幹事長は「政治家にも生活がある」と消極的だ。定数よりも、懐が直接痛む問題だけに、いやがる議員が多いのだろう。だが、そんな理屈は通らない。

 民主党はおととしの参院選で歳費を日割りにし、委員長手当なども見直すことで議員の「経費」を2割削ると公約していた。日割りは実現し、1日でも在職すれば1カ月分の歳費を丸々もらえる制度はなくしたが、そのほかは手つかずだ。

 ここですっぱりと「歳費」を2割削ってみせれば、わかりやすいではないか。

 いま国会議員の歳費は、月額129万4千円だ。賞与は年2回で、あわせて約550万円。これに非課税の文書通信交通滞在費が月100万円ある。委員長になると会期中は日額6千円の手当がつく。

 さらに、各党が国会内でつくる会派には、議員1人あたり月65万円の立法事務費が支給される。JRなどのパス、公設秘書の人件費も含めると、衆参両院で年間ざっと520億円の経費がかかっている。

 このほか、政党交付金に、319億円が費やされる。

 国会議員の仕事に金がかかる実態は否定しない。しかし、時と場合をわきまえてほしい。

 財政赤字にあえぐ政府は、国家公務員の給与を平均7.8%削る法案を出している。

 国民に対しては、復興増税に加えて、消費増税もしようというのだ。こうした法律をつくる国会議員が率先して、歳費を削るのは当たり前ではないか。

 国会議員は昨年4月から半年間、大震災の復興財源にあてるために、歳費を月50万円減らした。だが、10月からは素知らぬ顔で元に戻している。

 こんな対応が手前勝手すぎるのは明らかだ。

 さらに言えば、政党交付金も削るべきだ。もともと企業・団体献金の弊害をなくそうとして税金を渡す制度にしたのだ。その禁止がいつまでもかけ声倒れである以上、削減されても文句は言えまい。

 民主党は即刻、歳費削減にも着手しなければならない。

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ミャンマーの春―憲法改正で民主化急げ

 軍事政権による圧政が1年ほど前まで続いたミャンマーで多数の政治犯が釈放された。

 民主化運動が盛り上がった1988年当時の学生運動のリーダー、07年に10万人規模のデモの先頭に立った僧侶、少数民族政党の代表もいる。

 軍政トップのタンシュエ氏に疎まれて失脚したキンニュン元首相も自宅軟禁を解かれた。

 ミャンマー政府の決定を歓迎したい。それでも政治犯は残る。釈放を急ぐことだ。

 その政府はさらに、60年以上にわたって内戦を戦ってきた少数民族武装勢力のカレン民族同盟(KNU)と、停戦に合意した。他の少数民族の多くとも話し合いが進んでいるようだ。

 軍主導の総選挙をへて成立した新政権が、アウンサンスーチーさんとの対話やメディア規制の緩和を始めてから半年。テインセイン大統領をはじめ政府首脳は軍政を支えた幹部たちだ。

 展開の早さに驚くとともに、こうした決断が矢継ぎ早にできるなら、なぜ何十年も国民の人権を蹂躙(じゅうりん)し続けたのか、と改めて砂をかむ思いがする。

 経済制裁を科す欧米諸国は、政権の真意を探りつつ、解除の前提として、政治犯の釈放と少数民族との和解を求めてきた。

 ふたつの条件に進展があったことから、米国は空席だった大使の交換手続きに入った。欧州各国は、4月に実施される国会の補欠選挙の状況を見ながら解除も視野に動き始めている。

 日本からは、閣僚や企業幹部の訪問が相次ぐ。

 しかし、民主化が定着したと評価するには、もうひとつ欠かせない条件がある。08年に制定された憲法の改正だ。

 軍の意向を露骨に反映した憲法では、国会議員の4分の1を軍が指名し、非常事態には軍が全権を握る。改正には国会の4分の3超の賛成が必要だ。

 政権が国際社会の求めに応じるのは、憲法で軍への権力集中を確保したからだとの見方がある。制裁解除や援助といった実利を得たあと、もとの抑圧体制に戻ることも可能だ。

 野党・国民民主連盟は党首のスーチーさんらを補選に擁立する。政府は選挙後の国会で、野党と憲法改正へ向けた話し合いを始めるべきだ。

 安心して暮らせる自由と生活の向上。そうした果実を国民が実感できるよう民主化のさらなる進展が求められる。世界に残る強権体制が民主国家へ生まれ変わるモデルとなって欲しい。

 民主化が後戻りしないよう吟味しながら、日本も積極的な支援に取り組むときだろう。

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