HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 21 Jan 2012 22:21:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:東大の秋入学 大学活性化の契機に:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

東大の秋入学 大学活性化の契機に

 春から秋に入学季節を移そうと東京大学が動きだした。仕組みを世界標準に合わせて内外の風通しを良くし、有能な人材の輩出につなげる狙いだ。日本の大学教育を活性化させる契機としたい。

 将来の入学時期を話し合う東大の懇談会が秋入学の中間報告をまとめた。すると京都大や大阪大、金沢大といった有名大学も相次いで検討入りを表明した。やはり魅力的なのだろう。

 秋入学は世界の主流だ。そのちぐはぐさが日本の大学教育の“ガラパゴス化”を招き、海外との競争が進まない要因とみる向きは多い。

 東大の学部と大学院では外国人留学生の割合は一割ほどだが、世界的には二割や三割に上る大学もある。逆に海外留学の意欲はあるのに、帰国後の留年を恐れて尻込みする学生が目立つという。

 グローバル時代の大学間競争に太刀打ちするには、国境を越えて優秀な頭脳を集め、日本の学生を送り出したり、知的交流を深めたりする環境づくりが急務だ。秋入学はその第一歩となる。

 この論議はバブル崩壊後の経済の低迷や、ゆとり教育による子どもの学力低下を背景に高まってきた。秋入学を設ける大学も増えてはいる。だが主に留学生らの受け入れが目的で、春入学との併存にとどまるのが実情のようだ。

 秋入学への全面移行には課題が多い。東大の提言では入学までの半年間をボランティアや就業体験などの活動に充て、大学で学ぶ目的意識を培う期間とするという。

 英国では入学前の学生が一年ほど社会体験をする「ギャップイヤー」の慣習がある。そのための民間支援の仕組みが充実しているといい、日本でも見習う必要が出てくるだろう。

 さらに、秋の卒業となると、春の一括採用が定着している経済界や官公庁の対応は重要になる。年間を通じての弾力的な採用が欠かせない。意識改革を含めて採用方式の見直しが迫られるはずだ。

 小中高校との接続の問題にもかかわり、教育界全体を巻き込んだテーマとなる。入学前と卒業後を合わせて大学生活が実質五年に延びれば、学生の負担の増加も予想される。

 こうしたさまざまなハードルをどうやって越えるのか。まずは東大と秋入学に前向きな他大学が連携し、幅広い論議を呼び起こすことが大切だ。日本を覆う閉塞(へいそく)感を打ち破る起爆剤としての役割も期待したい。

 

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