HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 20 Jan 2012 20:21:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:センター試験 肥大化が招いた綻びだ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

センター試験 肥大化が招いた綻びだ

 将来の夢をかける受験生の身になってほしい。今年の大学入試センター試験は問題冊子の配布ミスで約三千五百人が再試験の対象となる大混乱に陥った。巨大システムの綻(ほころ)びが露呈したといえる。

 「睡眠時間を削って二次試験の勉強をしたいときに再試験なんてすごい迷惑だ」。受験生は怒っている。試験会場の運営ぶりはよほどでたらめだったようだ。

 選択科目の問題冊子が時間なのに配られない。そんな監督者の不手際が続発し、約七千五百人に影響が及んだ。一九九〇年に始まったセンター試験史上最悪の事態となった。

 センター側は「受験生の皆さまにおわび申し上げたい」と謝罪する一方で、現場の大学側の責任をあげつらう姿勢を見せた。こんな調子ではトラブルの再発防止は望み薄と言うほかない。

 慌てふためいたのは地理歴史と公民で二科目を選ぶ受験生だった。今年から選択肢を広げようと仕組みが変わった。去年まで別々に行っていた地歴と公民の試験をまとめてやる方式になった。

 だから地歴と公民から一科目ずつ選ぶ受験生にはあらかじめ二冊の問題を配る必要があった。ところが、監督者が一冊しか渡さずに試験を始めるミスが相次いだ。試験制度への信用が根底から揺らぎかねない大失態である。

 再試験の機会を与えられた受験生は多いが、それに費やす時間を惜しんだり、難易度を心配したりする声は根強い。不公平を取り戻す救済策には万全を期すべきだ。

 一定の基礎学力を測ろうと七〇年代に導入された大学共通一次試験の流れをくみ、センター試験は肥大化してきた。今や八百三十余りの大学や短大が参加し、五十五万人以上が出願する巨大システムに膨れ上がった。

 全国統一の仕組みゆえ、今度のように、初歩的ミスが同時に多発して致命傷となる危うさをいつもはらんでいる。

 失敗と不正を食い止め、滞りなく試験を終える。そのために監督者が目を通さなくてはならないマニュアルはさながら分厚い白書のようだ。大学側の緊張感のなさを批判するのはたやすいが、肝心なことを忘れていないか。

 原点に立ち返ろう。大競争時代には大学の特色が大事だ。大学によって集めたい学生は違うし、受験生も多様になった。もはや一斉一律の入試では応えきれまい。手間を惜しまず独自試験を貫く。それがトラブルの教訓だ。

 

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