HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49956 Content-Type: text/html ETag: "a3202-164b-4b6e3e052d707" Expires: Thu, 19 Jan 2012 23:21:41 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 19 Jan 2012 23:21:41 GMT Connection: close 新型インフル 緊急事態法制に位置付けよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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新型インフル 緊急事態法制に位置付けよ(1月20日付・読売社説)

 新型インフルエンザは世界のどこで、いつ発生してもおかしくない。

 強毒性の新型が流行した場合、最悪のケースでは、国内だけで64万人が死亡するとも推定されている。

 そうした事態に陥らないよう、万全の対策を講じておくのは、政府の責務である。

 政府は、強い毒性と感染力を持つ新型インフルエンザの発生を想定し、通常国会に特別措置法案を提出する。与野党が協力して成立を図るべきだ。

 特措法では、病原性の強い新型ウイルスの襲来を「国家的危機」と位置づける。感染や混乱の拡大を防止するため、集会制限や物資の流通確保などに、踏み込んだ強制措置をとれるようにする。

 現在でも国や都道府県は、新型インフルエンザに対する「行動計画」を策定している。ただし、強制力を伴うものではなく、外出や集会などの自粛や中止といった措置を「要請」できるだけだ。

 2009年に新型インフルエンザが発生した際は、毒性の弱いウイルスだったため、大きな被害を出さずに済んだ。だが、もし強毒性だったら、行政は的確な対策を打てず、深刻な被害をもたらしていただろう。

 検討中の特措法案では、強毒性ウイルスが流行した場合に、政府対策本部が、都道府県単位で「緊急事態」を宣言する。

 外出自粛やイベントの中止などは、従来通り「要請」とするが、正当な理由なく拒まれた時に、より強い「指示」が出せるようにする。治療施設などに必要な土地や建物の使用も可能にする。感染拡大を防ぐためには、罰則の検討もやむを得まい。

 ただ、発動は慎重であるべきだ。私権制限規定は武力攻撃に備える国民保護法にもある。同法は国民の自由と権利を尊重し、制限は必要最小限にする、としている。

 東日本大震災では発生直後、全国で物資の不足が起こった。流通網の寸断に加え、買いだめの影響も大きかったと見られる。新型インフルエンザ発生時も、感染地域を封じ込めれば流通網は滞り、外出自粛で買いだめが生じる。

 その場合でも、売り惜しみを防ぎ、安定した価格で品物を十分に供給できるよう、行政の権限を強化しておく必要がある。大震災の教訓を生かすべきだ。

 特措法の想定は、さまざまな緊急事態の場合と共通する。国と自治体の連携、地域の医療や必需品の備蓄など、平時の備えを点検・強化することにもつなげたい。

2012年1月20日01時15分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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