HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 48678 Content-Type: text/html ETag: "f28ed-1283-4b6e3e0515ea3" Expires: Fri, 20 Jan 2012 01:21:17 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 20 Jan 2012 01:21:17 GMT Connection: close 1月20日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




現在位置は
です

本文です

1月20日付 編集手帳

 ボート選手の青年が副監督から高価なカメラを預かる。女子選手に恋心を燃やしているうち、紛失してしまった。ロサンゼルス五輪を舞台にした田中英光の小説『オリンポスの果実』である◆〈隣席にいた、副監督のM氏が、ぼくに、御愛用の時価千円ほどのコダックを渡して便所に行った…〉。文中に「カメラ」「写真機」といった言葉はない◆1940年(昭和15年)の作品だが、読者に説明が要らないほどに名前が通っていたのだろう。創業132年、“カメラの革命児”とも“フィルムの巨人”とも呼ばれた米国の名門企業、イーストマン・コダックが経営破綻した◆創業者ジョージ・イーストマンはKの字が好きだったらしい。本間(ゆき)(ひで)さんの『社名の由来』(講談社)によれば、「Kで始まり、Kで終わる名前を…」と、あらゆる文字の組み合わせを考えた末に生まれたのが「コダック」(Kodak)という◆デジタルカメラなどの分野で対応が遅れた。かつて業界に君臨した王様(KING)も、時流に乗り遅れればノックアウト(KO)の憂き目を見る。二つの「K」が隣り合う、怖い時代である。

2012年1月20日01時15分  読売新聞)

 ピックアップ

トップ
現在位置は
です