HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 34262 Content-Type: text/html ETag: "8a5e18-5f3f-df6b6a00" Cache-Control: max-age=5 Expires: Thu, 19 Jan 2012 23:21:07 GMT Date: Thu, 19 Jan 2012 23:21:02 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):社説
現在位置:
  1. asahi.com
  2. 社説

社説

Astandなら過去の朝日新聞社説が最大3か月分ご覧になれます。(詳しくはこちら)

2012年1月20日(金)付

印刷

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

定数減民主案―比例80減には異議あり

民主党が衆院定数を計85議席減らす案を決めた。300の小選挙区は5区削り、180議席の比例区は一気に100に減らすという。消費増税と社会保障の一体[記事全文]

食事調査―今こそ、政府の責任で

福島県に住む人の1日の食事には約4ベクレルの放射性セシウムが含まれていたが、この食事を1年間続けた場合の被曝(ひばく)線量は約0.02ミリシーベルトで、今春から厳しくなる国の基準値の40分の[記事全文]

定数減民主案―比例80減には異議あり

 民主党が衆院定数を計85議席減らす案を決めた。

 300の小選挙区は5区削り、180議席の比例区は一気に100に減らすという。

 消費増税と社会保障の一体改革に国民の理解を得るには、国会議員がみずから身を切るべきだという考え方は評価する。

 だが、この民主党案はあまりに乱暴だ。本気でこのまま実現できると思っているわけではあるまい。もっと現実的な案で、野党との協議に入るべきだ。

 小選挙区と比例区に分けて、考えてみる。

 小選挙区は「一票の格差」が2倍を超え、最高裁が「違憲状態」だと断じている。

 そこで民主党は「5増9減」「6増6減」の2案をまとめていた。だが今回は「0増5減」という自民党案を丸のみした。一体改革に道を開きたいという思いがありありだ。

 とりあえず「一票の格差」も約1.8倍に縮む。投票価値の完全な平等にはまったく程遠いが、年内の総選挙も取りざたされるだけに、緊急避難としてやむを得ない面がある。

 だが、比例区の80削減には、大いに異議がある。

 民主党が先の総選挙と参院選で公約した通りの削り方とはいえ、小選挙区比例代表並立制という現行制度を根幹からゆがめてしまうのは明らかだ。

 いまの制度は、政権交代が起きやすくなるが死票も多い小選挙区制と、多様な民意を反映しやすいが多党化しがちな比例区を掛け合わせ、互いの短所を補いあうものだ。

 約20年前の導入当初は、小選挙区と比例区の比率は3対2だった。今回の民主案が実現すれば、それが3対1になり、完全小選挙区制に近づくばかりだ。

 議席が得にくくなる中小政党が応じる見通しもない。

 それに小選挙区は「選挙結果の振幅が大きすぎる」「2大政党の政争を激化させた」などと多くの弊害が指摘されている。なのに小選挙区偏重をすすめる合意など、あり得ない。

 もちろん小選挙区の「5減」だけでは、多くの有権者が納得しないだろう。もっと定数を減らすにあたっては、時間はかかるが小選挙区と比例区のバランスに配慮した策を練るべきだ。

 そのためには、衆院と参院の役割を見つめ直し、いまは似たような両院の選挙制度を同時に改めていくのが合理的だ。

 こうした抜本改革を置き去りにしないために、当面の定数削減案の国会提出と同時に、首相の諮問機関である選挙制度審議会を設けることを求める。

検索フォーム

食事調査―今こそ、政府の責任で

 福島県に住む人の1日の食事には約4ベクレルの放射性セシウムが含まれていたが、この食事を1年間続けた場合の被曝(ひばく)線量は約0.02ミリシーベルトで、今春から厳しくなる国の基準値の40分の1にとどまる――。

 全国53家庭の協力を得て、朝日新聞社が京都大学と共同でその食事を分析したところ、こんな結果が出た。セシウムは東京電力福島第一原発から遠いほど少なく、西日本ではほとんど検出されなかった。

 食品中の放射性物質はそれぞれ規制値があるが、人によって食べる種類や量は違うし、中には検査をすり抜けた食品もあるかもしれない。毎日の食事で実際にどれくらいの放射性物質を取り込んでいるのか。不安に思う人は少なくないだろう。

 調べた家庭の数が限られ、1日だけの調査ではあるが、おおまかな目安にはなったのではないか。高い値が出た家庭は、原因を調べて、それを減らす工夫もできる。

 専門家は、こうした調査を続けて実態をつかみ、公表することが大切だと話している。

 文部科学省は1960年代から全国の家庭の食事に含まれる放射性物質を調べてきたが、核実験やチェルノブイリ原発事故の影響も収まってきたことなどから、08年度で打ち切った。そのため福島第一原発事故の前後の肝心なときに、全国規模の変化のデータがなかった。地道な測定を続ける重要さがわかる。

 厚生労働省は、市場に出まわる食品から摂取量を推測する調査にくわえて、実際の食事も調べる計画だ。民間では、コープふくしまが、福島県内で実際の食事を調べている。

 政府は、福島県を重点にして食事の調査を計画的に進めるべきだ。

 こうしたデータは、いろいろなことを教えてくれる。

 まず、食品中のセシウムは、もともと食品に含まれている放射性カリウムと比べて、少ないといえそうだ。カリウム40は半減期12億年余の放射性物質で、私たちは毎日80ベクレルほどを食べ、年間0.2ミリシーベルト被曝している。

 現行の暫定基準は、食品中のセシウムによる年間被曝を5ミリシーベルト以内に収めるように定めているが、今のところ、低い値に抑えるのに効果を発揮しているといっていいだろう。

 生活に密着するデータをきちんと取ることの意義を、改めて確認したい。それを政策の基礎にしてはじめて、消費者と生産者、流通が納得して実行できる規制づくりになる。

検索フォーム

PR情報