HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 18 Jan 2012 21:21:19 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:<船頭多くして船山に上る>と俚諺(りげん)も言うように、船…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 <船頭多くして船山に上る>と俚諺(りげん)も言うように、船長がたくさんいると、やっかいだ。指示が乱れ飛べば、混乱する。それでも、船が危急の時、船長がいない、というのよりはましだろう▼イタリア沖で豪華客船が座礁し、多数の死者、不明者を出した事故では、船長が事故後、乗客を船に残したままさっさと近くの島へ避難していた、と伝えられる。本人は否定したが、指揮官が先に逃げ出したとすれば、避難誘導がスムーズにいく道理もない▼思い出したのは、三年前、米国でエンジン停止した旅客機をハドソン川に無事、不時着させ、全米の英雄になった機長のこと。彼は、乗客を脱出させた後、逃げ遅れた人がいないか自分で通路を一回、二回と歩いて確かめた後、やっと最後に機を離れたのだという▼客船事故は、あの船長が、乗員の一人に出身地の島を近くで見せようとして通常航路を外れたのが原因か、とも報道されている。事実なら言語道断、同じキャプテンでも、あの機長とは大違いだ▼<目指す港を知らぬ者に順風が吹くわけはない>と、ある先哲は言った。船長や機長にとって一番の目標は、乗客を安全に送り届けることでなければならぬ。<目指す港>を勘違いした者に命を預ける不運、怖さを思う▼ふと、わが日本丸のキャプテンにも思いが及ぶ。さて、彼(か)の人は<目指す港を知る者>なりや…。

 

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