HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 48693 Content-Type: text/html ETag: "f423a-13f3-4b6a79efdf2c9" Expires: Mon, 16 Jan 2012 21:21:50 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 16 Jan 2012 21:21:50 GMT Connection: close 1月17日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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1月17日付 編集手帳

 タマネギに涙はつきものである。〈玉葱(たまねぎ)の皮()ぐ時に易々(やすやす)と人にも見せて涙ながせる〉(富小路禎(とみのこうじよし)())。別に理由があっての涙を、タマネギにこと寄せて流した経験は歌人に限るまい◆17年前の1月16日、兵庫県芦屋市の米津漢之(よねづくにゆき)君(当時7歳)と深理(みり)ちゃん(同5歳)は生まれて初めて、翌日の夕食用に二人でカレーを作った。兄と妹はこの記念すべき合作のカレーを口にすることができなかった。二人は翌朝の地震で亡くなる…◆「私には会ったことのない兄と姉がいます」。2年前、震災の追悼式典で小学6年生・12歳の米津(はんな)さんが挨拶した。「わが家では毎月17日にカレーを食べます」。今夜もそうだろう◆阪神大震災からきょうで17年になる。歳月は流れても、親御さんの耳には幼い二人がはしゃぎながら料理をする声がいまも聞こえるであろうことを思うとき、タマネギをむくお母さんの目頭は想像するまでもあるまい◆カレーか、ハンバーグか、亡きわが子の好物で献立を考えているお母さんは多いことだろう。1月17日のタマネギは、3月11日のタマネギは、普段にまして目に染みるはずである。

2012年1月17日01時22分  読売新聞)

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