HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 17 Jan 2012 03:21:38 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:阪神と東日本 伝え合い、語り継ごう:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

阪神と東日本 伝え合い、語り継ごう

 昨年の3・11とともに忘れ得ぬ1・17を迎えた。すでに十七年が過ぎた。阪神と東日本大震災−。そのすべてが地震列島・日本に残した教訓だ。伝え合い、語り継ぎ、生かされなければならない。

 この正月、神戸市内の非政府組織スタッフらが宮城県石巻市などの仮設住宅を巡回し、被災者に宛てた年賀状を届けた。阪神大震災で被災したメンバーが、自らの経験を思い起こし「年賀状のない正月は寂しすぎる」と励ましの言葉を募集した。全国から約三千五百通が集まった。

 神戸の復興住宅に住む人たちも持ち寄った。「あの時、負けないで頑張ってよかった」「生きていることが財産だから」。伝え合う大切さ、言葉の力が心に響く。

 兵庫県宝塚市の会社社長は、宮城県女川町でコンテナの仮設店舗を無償提供している。再開された理容店は被災者の生活を助けるだけでなく、交流の場となっている。阪神の経験が東北に希望をもたらすなら、ありがたいことだ。

 阪神の復興では高齢者の孤独死が深刻化した。復興マンションが林立し、独居老人たちが地元を離れて入居した。被災者の意向よりスピードを重視したのだ。その結果、震災前の地域コミュニティーが崩壊し、病死や自殺が相次いだ。昨年一年間も復興住宅で三十六人が孤独死したという。

 東北の復興は同じ轍(てつ)を踏んではいけない。顔見知り同士が離れ離れにならないよう配慮された仮設住宅がある。復興計画づくりを各自治体が主導するのも、教訓が生かされている。支え合うためにコミュニティーは不可欠だ。希望を抱く“心の復興”につながる。

 阪神で実践した「創造的復興」を東北でも、という提案や計画が打ち出されている。暮らす家がない、働く場がない人たちがまだ大勢いる。生活再建を優先することが、阪神の教訓だったのに…。

 この時期、阪神の追悼・復興イベントが各地で開かれる。先週あったコンサートに招かれた岩手県大船渡市の中学生たちは、神戸の今を見て聞いて「頑張ろう」と思ったに違いない。災害をメモリアルとして語り継ぐこと、それはきっと防災、減災に役立つ。

 いつかは来る東海、東南海、南海の巨大地震について、内閣府の検討会が想定震源域を二倍に拡大した。各自治体も地域防災計画の見直しを迫られている。1・17と3・11。単純に符号化はしたくはないが、永遠に忘れない日に、次に「備える」ことを考えたい。

 

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