HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Mon, 16 Jan 2012 03:21:07 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:台湾馬総統再選 対中接近に評価と懸念:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

台湾馬総統再選 対中接近に評価と懸念

 十四日の台湾総統選で国民党の馬英九総統が再選された。選挙民は中国との経済関係強化を評価した。野党民進党の蔡英文主席も前回総統選より差を詰め、政治的な対中接近への懸念も示された。

 馬総統にとって本来、不安はないはずの選挙だった。四年前の総統選で民進党に圧勝して政権を奪い返し、中国との三通(直接の通信、通商、通航)を実現した。

 中国からの観光も解禁し、自由貿易協定(FTA)に当たる「経済協力枠組み協定」(ECFA)の調印を果たした。この結果、中国からの観光客は年百万人を突破し、対中貿易も大幅に増え、大きな利益を台湾にもたらした。

 これに対し、民進党は八年間政権を担った陳水扁前総統が収賄事件で懲役十七年六月の判決が確定し収監された。党の評価は地に落ち分裂の危機にも見舞われた。

 しかし、今回の総統選は最後まで票の読めない激戦となり、馬総統の得票率は約51・6%にとどまり、前回選の58・45%から7ポイント近く下がった。

 同日選で行われた立法院(国会に相当)選挙でも、国民党は過半数を獲得したが、三分の二を上回った前回選より議席を減らした。

 これは中国との経済関係発展の恩恵が、進出企業や観光地など一部に限られ失業率は高どまりし貧富の差が広がった経済的理由が大きい。馬総統が選挙戦の最中、中国との和平協定締結の可能性を口にすると支持率が急落した。

 台湾の各種世論調査で、中国との関係については「統一」や「独立」は少数にとどまり、常に「現状維持」が八割以上を占める。

 国民党の得票率低下は、中国との対話が経済から統一をにらんだ政治協議に進展することに、有権者がくぎを刺したとみられる。

 民進党の蔡候補は中国が台湾との対話の前提としている「一つの中国」の原則を否定したが、それに代わる関係発展の枠組みを具体的に示せなかった。民進党の政権奪回で中台間の緊張が高まり、経済関係の発展が台無しになることも、選挙民は拒んだ。

 中国には総統選の結果に示された台湾の民意をくみ取る知恵が求められる。圧力を控え中台関係の現状維持を事実上、認めることで、関係緩和が進み経済協力が発展した。しかし、統一を焦って政治協議の実現に圧力を加えるなら、かえって、これまでの対話の成果を損ない関係を後退させる結果につながりかねない。

 

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