HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49407 Content-Type: text/html ETag: "f4b0e-140c-4b66b584657c6" Expires: Sat, 14 Jan 2012 00:21:53 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 14 Jan 2012 00:21:53 GMT Connection: close 1月14日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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1月14日付 編集手帳

 いつぞや、歯医者通いの長い知人が手もと不如意を嘆いた。「ヘミングウェーでね」。何のことかと尋ねたのが間違いで、つまらない駄洒落(だじゃれ)を聞かされた。「歯が(ため)に金は要る」(()が為に鐘は鳴る)◆くだらないなりに味わいもある。グラグラして頼りない歯を抜き、丈夫そうな差し歯をしたのだな…と、きのうの内閣改造を見て昔の駄洒落を思い出した◆国政の難題を()み砕く“歯”となり、暮らしの隅々に栄養を行き渡らせるのが政治の役目だろう。先立つものは財源であり、「歯が為に金は要る」。消費税に照準を定めたらしい野田首相が、この難題中の難題をどう噛み砕いて国民に訴えるのか、一新した歯の働きを見せてもらおう◆文豪ゲーテに、歯にまつわる詩があった。〈世界は(かゆ)で造られてはゐない/君等(きみら)(なま)けてぐづぐづするな/堅いものは噛まねばならない/喉がつまるか消化するか、二つに一つだ…〉(岩波文庫『ゲーテ詩集』より)◆噛むのに苦労する強飯(こわめし)を避けて、安易な粥に逃げるなかれ。無駄のカットで社会保障費が賄えるかのような、幻想の飴玉(あめだま)を弄するなかれ。治療した歯が泣く。

2012年1月14日01時27分  読売新聞)

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