HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50382 Content-Type: text/html ETag: "33ac1-1629-4b657405cc5e8" Expires: Fri, 13 Jan 2012 02:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 13 Jan 2012 02:21:10 GMT Connection: close 経産省幹部逮捕 産業政策への信頼が失墜する : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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経産省幹部逮捕 産業政策への信頼が失墜する(1月13日付・読売社説)

 産業政策に対する国民の信頼を根幹から揺るがす不祥事である。

 経済産業省の元審議官が、金融商品取引法違反(インサイダー取引)の疑いで、東京地検特捜部に逮捕された。

 自らが担当する企業の公的支援などに関する未公表情報に基づき株取引を行い、約230万円の利益を得た疑いが持たれている。

 産業政策を担う経産省の幹部として、あってはならない不正行為である。

 元審議官は「公知の情報に基づくものでインサイダー取引にあたらない」などと容疑を否認しているという。特捜部は徹底捜査で事実関係を解明してもらいたい。

 今回の事件で問題となった株取引の一つは、大企業の倒産による経済危機を回避するため、公的資金を投入できるように改正された産業活力再生特別措置法に絡むものだった。

 元審議官が株を購入した半導体大手「エルピーダメモリ」は、経営不振に陥り、2009年に特措法の適用を経産省に申請して認められ、政府系の日本政策投資銀行の出資などを受けている。

 元審議官は当時、情報通信産業を担当し、エルピーダ社の再建計画の策定に携わっていた。

 公的資金を活用した企業の資本増強は異例の国策であり、エルピーダ社のケースは、その第1号案件として注目された。

 インサイダー取引が事実とすれば、政策決定の妥当性についても不審の目を向けられることにつながりかねない。

 経産省は内規で、個別企業の内部情報に接する可能性がある職員に対し、担当業種の株取引を禁じていたが、本人名義の取引を対象にしていた。元審議官は妻名義の口座で取引しており、内規の盲点を突かれた。

 また、元審議官は勤務時間中に携帯電話で株取引をしていたとされる。公務員の職務専念義務にも反する言語道断の行為である。

 今回、経産省が全職員を対象に調査をしたところ、特許庁の職員2人が内規に違反して、特許の審査などを担当した企業の株式を売買していたことも判明した。

 株取引に対する職員の認識の甘さが浮き彫りになった。経産省が当面、全職員に株取引を事実上禁じたのは当然である。

 不正取引を防ぐには、職員やその家族が保有する証券口座を把握しておくことも必要だ。経産省は再発防止を徹底し、信頼回復を図らなければならない。

2012年1月13日01時29分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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