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民主党の元代表・小沢一郎被告が、東京地裁で2日間の被告人質問を終えた。政治資金収支報告書に、秘書らと共謀してうその記載などしていない。4億円の土地取引も秘書に任せており[記事全文]
イランに核開発の断念を迫るため、米国が決めた経済制裁の強化に、日本も協力することになった。来日したガイトナー財務長官に対し、安住淳財務相が、イランからの原油の輸入を計画[記事全文]
民主党の元代表・小沢一郎被告が、東京地裁で2日間の被告人質問を終えた。
政治資金収支報告書に、秘書らと共謀してうその記載などしていない。4億円の土地取引も秘書に任せており、手元の現金を用立てたほかは一切あずかり知らぬ、と無罪を訴えた。
虚偽記入の疑惑発覚から2年あまり、国会での説明を拒み続け、昨年1月に強制起訴された際には「法廷で真実を述べる」と言っていた。
それが、ふたを開けてみれば「記憶にはない」「秘書に任せていた」の繰り返しだった。
むろん、裁判所は政治家としての資質を論ずる場ではない。刑事責任の有無は今春の判決を待つしかない。
だが、小沢氏はかねて、報告書の中身の透明度に胸を張ってきたはずだ。
「政治活動を国民の不断の監視と批判の下におき、民主政治の健全な発展を図る」という、政治資金規正法の趣旨にかなう発言だった。
それなのに法廷では、虚偽記載の罪に問われた問題の収支報告書にさえ、いまに至っても目を通していないと答えた。
なぜ、見もしないで内容を保証できたのか。報告書に向き合う緊張感も、報告書を見る国民に対するおそれも持ちあわせていないことを端的に示した。
かつての政界ならいざ知らず、政治とカネに厳しい目が注がれるいま、政治家として失格であることは明らかだ。
こんなありさまで、「私の関心は天下国家」と唱えても、だれが耳を傾けるのか。
「小沢氏は検察にはめられたのだ」と主張してきた人々は、これでもなお小沢氏を擁護するのだろうか。
小沢氏が信頼し、任せていたという3人の秘書らは一審で有罪判決を受けている。会計責任者だった秘書は報告書を見もせず、宣誓欄の署名も代筆させていた。別の秘書は、政治団体間での何千万円という金のやり取りも記載しなかった。
この監督責任も免れない。
小沢氏の「秘書任せ」の弁明が通る余地があるのは、規正法が報告書の一義的な責任を政治家本人ではなく、会計責任者に負わせているからだ。
その見直し問題は、長らく国会で放置されてきた。
違反の言い逃れを封じるために連座制を強化し、政治家自身が責任と倫理を明確にする制度を確立すればよい――。
19年前に出版した著書「日本改造計画」で、こう指摘したのは小沢一郎氏その人である。
イランに核開発の断念を迫るため、米国が決めた経済制裁の強化に、日本も協力することになった。
来日したガイトナー財務長官に対し、安住淳財務相が、イランからの原油の輸入を計画的に減らす方針を伝えたのだ。
イランは今年に入り、地下核施設でウランの濃縮作業を始めた。「平和利用」と説明しているが、米国などは軍事目的とみて警戒を強めている。
イランが核兵器を持つことになれば、中東の安定は根底から揺さぶられる。イランが、国連安保理決議など国際社会の再三の警告を無視している以上、制裁強化はやむをえない。
欧州連合(EU)はすでに、イラン産原油の輸入を全面禁止する方向で最終調整に入った。日本もできるだけ足並みをそろえて、国際社会の強い意思をイランに示す必要がある。
ましてや日本は、北朝鮮の核放棄に向け、国際社会の協力を求める立場にある。イランに対しても毅然(きぜん)と対応できなければ理解は得られまい。
ただ、制裁は代償を伴う。
イランからの原油は、日本の全輸入量の1割を占める。国別では、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタールに次ぐ4番目の調達先だ。
日本は原発の大半が止まり、火力発電への依存が高まっている。各国がイラン以外から買い入れを増やせば、輸入価格がさらに上がり、経済活動の足を引っ張る恐れは否定できない。
政府にはまず、代わりの輸入先の確保を急いでほしい。そして、具体的な削減の幅や進め方については、経済への影響が最小限となるよう知恵を絞り、米国には日本の事情をよく理解してもらわねばならない。
また、制裁の強化がイランの譲歩を促す保証はない。国際的な孤立が、かえって核保有への決意を支える事態もありうる。
イランは対抗措置として、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖をほのめかした。昨年11月には、制裁に反発するデモ隊が、テヘランの英国大使館を襲撃する事件もあった。
地域の緊張を緩和し、不測の事態を避けるためにも、圧力一辺倒ではなく、やはり対話の努力が欠かせない。
日本は、米国の求めに応じてイランのアザデガン油田から完全撤退するなど、最近は制裁強化への同調が目立つ。
しかし日本は、米国がイランと国交を断絶した後も、友好関係を維持してきた。独自のパイプを生かして、少しでも事態の改善をさぐりたい。