HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 12 Jan 2012 00:21:13 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:拘束型住民投票 先送りは民意の軽視だ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

拘束型住民投票 先送りは民意の軽視だ

 国が目指してきた住民投票の法制化が先送りされる気配だ。「待った」をかけたのは首長や議長ら地方側だから、首をかしげたくなる。住民自治の強化は、地域主権改革の“大本”でもあるのに…。

 総務省は昨年二月、大型公共施設の建設を対象に法的拘束力を持たせた住民投票の導入などを盛り込んだ、地方自治法改正の原案をまとめた。住民の意向を行政に反映しやすくしよう、とは片山善博前総務相の持論でもあった。

 全国知事会など地方六団体は「議会制民主主義の根幹を変質させる」と反発。地方制度調査会(地制調)の意見を聞くよう要請したため、国会上程が見送られた経緯がある。国と地方の攻防が逆転したような構図だ。

 拘束型の住民投票は、地方自治法で首長解職と議会解散に限られている。個別政策の是非は各自治体の条例に基づく住民投票で問えるが、結果には首長が縛られない諮問型が大半だ。そうしたあいまいさを改め、多様な住民ニーズを反映させる意味でも拘束型は有益な試みといえる。

 地制調は「意義がある」としながら、対象や要件を詰める必要があると結論づけた。地方側に配慮した、先送りのこじつけだ。原案では導入を一律的に義務付けず、各自治体での条例制定を求めており、実施の前段階で議会審議ができるはずだ。その際、ハコモノ建設の是非だけでなく場所や規模、運営方法について十分に議論すれば、住民に判断材料が示せる。

 まずは試みてはどうか。実例を積んだ上で、首長と議会が衝突した案件にも活用すれば、二元代表制を補完できる仕組みにもなる。名古屋市の減税問題で実施していたら、議会リコールや出直し市長選の混乱はあっただろうか。

 地制調は、住民の直接請求の対象を地方税減免や新税導入にまで広げる改正案も先送りした。地方側の「安易な減税要求により財政基盤に影響が生じる」という反対意見を受け、税と社会保障の一体改革や経済状況の推移を見極めてから、という。法改正は、通年議会の開催や専決処分の見直しなどにとどまりそうだ。鹿児島県阿久根市で問題化した不都合を後追いで改善するだけである。

 納めた税金がどう使われているかに関心を持つことから住民自治は始まる。そうした機会を、首長と議会が奪ってしまうなら本末転倒だ。中央府省の抵抗と並んで、地域主権改革が進まないもうひとつの理由に思えてならない。

 

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