
HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52097 Content-Type: text/html ETag: "a3705-1cef-4b62ec4d20709" Expires: Tue, 10 Jan 2012 23:21:35 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 10 Jan 2012 23:21:35 GMT Connection: close
![]() 日本経済再生 危機を直視し改革を断行せよ(1月11日付・読売社説)東日本大震災のショックから持ち直していた景気が減速し、昨年秋に足踏み状態になった。 財政や社会保障の“制度疲労”は、もはや限界に近く、抜本改革なしには持続できないことが明らかである。 日本経済の再生に向けて、野田政権は成長の回復を図らねばならない。財政再建など国民に痛みを伴う改革からも逃げず、断固として実行することが肝要だ。 ◆深刻な円高と電力不足◆ 懸念材料は、歴史的な超円高と、欧州を震源とした海外経済の悪化である。円相場は1ドル=70円台後半が定着し、対ユーロでも一時、97円台前半に上昇した。 頼みの輸出が減少し、工業生産は減速した。企業心理が冷え、設備投資も低空飛行が続く。景気腰折れに警戒する必要がある。 政府・日銀は昨年10月、為替市場で円売り・ドル買いの単独介入に踏み切ったが、効果は限定的だった。海外経済の減速が円高圧力を高めているのだろう。 政府・日銀は機動的な介入と追加金融緩和によって、円高の是正を急がねばならない。欧米当局との協調介入の実現に向け、粘り強く働きかけることが重要だ。 円高が産業空洞化を招く点にも注意を要する。経済産業省の調査では、現在の円高が半年続くと、大企業製造業の約半数が、工場などを海外移転すると答えた。 自動車産業で空洞化が進行すると、国内雇用が60万人も減少するという推計もある。 国内生産が縮小すれば、海外に出られない下請け企業は廃業の危機に瀕する。多くの中小企業が支える日本のモノ作りの土台を、崩壊させてはならない。 電力不足も空洞化を助長する要因だ。東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、定期検査で止めた原発を再稼働できない中、全54基の約9割が停止した。5月までに全原発が止まり、国内の電源の3割を失う恐れがある。 政府は、原発の安全性確認に責任を持ち、地元自治体の理解を得て、再稼働を実現させなければならない。電力の安定供給確保も日本経済再生のカギを握る。 ◆TPPで外需取り込め◆ 景気下支えで期待されるのが、震災の復興需要だ。すでに15兆円の復興関連予算が成立した。被災地の生活・生産基盤の復活と景気浮揚を同時に果たすため、事業を着実に実施してほしい。 とはいえ、一時の復興特需に頼るだけでは展望は開けない。 消費が活発な現役世代の人口は現在、約8000万人だが、15年後は7000万人、25年後には6000万人に減る見込みだ。 人口減少の加速で、日本の内需縮小は避けられない。成長が続くアジアなど新興国の外需を取り込む戦略が必須となる。 第一歩は、野田首相が交渉参加に向け、米国などと協議に入ると表明した環太平洋経済連携協定(TPP)への正式参加だ。 TPPは、アジア・太平洋の各国が関税を撤廃し、貿易や投資を自由化する枠組みで、米国とオーストラリア、シンガポールなど9か国が交渉している。 日本も早く加わらないと、貿易自由化や投資のルール作りに間に合わず、国益を損なう。 ところが、国内には異論がくすぶる。特に、農林水産省や農業関係議員は、TPPが日本農業を崩壊させると主張している。日本農業の危機は、低生産性や担い手不足が主因である。 農地の集約化を進めて生産性を高め、競争力のある産業に転換すれば、農産物の市場開放に対応できるだろう。TPPを農業再生の起爆剤と考えるべきだ。 国と地方の長期債務は2012年度末で937兆円と、国内総生産(GDP)の約2倍に達する。世界最悪の状況だ。 経済の低迷で税収が伸びないうえに、医療や年金など社会保障費を中心に歳出が膨らみ、巨額の財政赤字を垂れ流している。 ◆消費税上げが必要だ◆ 財政や社会保障制度がいずれ、破綻しかねないとの不安から、働く世代が消費を抑え、貯蓄を増やす傾向が強まっている。 将来不安が消費を冷やし、低成長と税収減を招く悪循環を断ち切らねばならない。 しかし、政治の危機感は薄い。衆参ねじれ国会と大衆迎合(ポピュリズム)で、政策はいまだに停滞と迷走を繰り返している。 財政と社会保障を立て直すには消費税率を引き上げ、安定財源を確保するほかに道はない。これは与野党を問わず、政治が実現しなければならない課題である。 (2012年1月11日01時11分 読売新聞)
![]() 東京本社発行の最終版から掲載しています。
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